米マイクロソフトが今年後半にリリースする次期基本ソフト(OS)「ウィンドウズ(Windows)8」によって、世界の半導体市場はますます競争が激化しそうだと米ウォールストリート・ジャーナルが報じている。
「パソコン、サーバー」の分野、「スマートフォン、タブレット」の分野と、これまで異なる市場で競争してきたマイクロプロセッサーのメーカーはウィンドウズ8の登場によって棲み分けがなくなり、かつてなかった市場競争が展開されると予測されている。
初のARM対応OS「ウィンドウズRT」
パソコンやサーバー、スマートフォンやタブレット端末で主に使われているマイクロプロセッサーには2つの異なる基本設計がある。1つは米インテルが開発した「x86」でパソコンやサーバー用。もう1つは英アームホールディングスが開発した「ARM」で、こちらは低消費電力という特徴を生かして様々なモバイル機器に使われている。
前者の市場ではインテルが世界で8割のシェアを占めており、同社の市場支配は長年不動という状態。後者を採用するプロセッサーメーカーには、米エヌビディア、米クアルコム、米テキサス・インスツルメンツ、韓国サムスン電子などがあり、米アップルの「アイパッド(iPad)」や「アイフォーン(iPhone)」もこのARMを採用している。
そして、ウィンドウズ8では、初めてARMに対応する「ウィンドウズRT」というバージョンが登場する。これはタッチパネル操作が可能な薄型軽量のモバイルパソコンやタブレット端末を想定したOSだ。
マイクロソフトはプロセッサーにインテル以外の基本設計を選ぶことで、アイパッドや米グーグルのOS「アンドロイド(Android)」に対抗し、苦戦しているモバイル機器市場で巻き返しを図りたいと考えている。
また、エヌビディアやクアルコムなどのメーカーも、自社のプロセッサーを搭載するウィンドウズ機が登場するとして、ウィンドウズRTに期待を寄せている。
インテル搭載のスマホも登場
一方のインテルは、同社製プロセッサーを搭載する薄型軽量のノートパソコンコンセプト「ウルトラブック(Ultrabook)」を掲げており、その普及促進に力を入れている。またARM陣営同様、ウィンドウズ8に期待しており、タッチパネル機能付きのインテル搭載モバイルパソコンや、タブレット端末の普及も狙っている。
このほかインテルはスマートフォンにも力を入れている。この4月にはインドの携帯電話メーカーがインテルの低消費電力プロセッサーを搭載したスマートフォンを発売しており、先頃は中国レノボ・グループ(聯想集団)もインテル搭載スマートフォンを発表している。