経営破綻したエルピーダメモリは米マイクロン・テクノロジーに買収された。次はルネサス エレクトロニクスが危機的状況に立たされている。ルネサスだけではない。日本で「SOC(System on a Chip)」と称している半導体製造を手がけている企業は、皆、極度の不振に陥っている。
2012年2月8日の日経新聞電子版によれば、ルネサス、富士通、パナソニックを統合し、産業革新機構と米グローバルファウンドリーズの投資を得て、その3社連合から、設計開発会社と受託生産会社を作る案で合意した旨が記載されている。
上記ニュースに対して、おそらく読者の皆さんも「またかよ」と思っているに違いない。私も「もう統合や合弁はいい加減にやめてくれ」と思っている。
現在、筆者はメルマガで、立ち上げ初期のエルピーダにおけるNECと日立製作所の内紛劇をこと細かく書いているが、これは組織をいじるとロクなことはないとお伝えしたいからだ。
本稿では、統合や分社化によってルネサスが競争力を失った過程を、売上高と営業利益率の推移から分析する。次に、日本で「SOCメーカー」と称している企業は、本当はSOCを作っていないことを示す。それを基に、今後どうしたらよいか意見を述べる。
合弁で利益率が悪化したルネサス
図1に各半導体メーカーの営業利益率を示す。1984~2000年まで、当時「ビッグ5」と呼ばれた東芝、日立製作所、NEC、富士通、三菱電機の営業利益率は、ほぼ同じ挙動を示していた。好況時には10~20%程度、不況時には0~-10%と、営業利益率はシリコンサイクルに影響されて上がったり下がったりしていた。