本稿の前篇では、タンザニアで出会った中小企業経営者(15人)へのインタビューを通じて理解した中小企業支援政策やビジネス環境とそこで生きる中小企業経営についてご紹介した。後篇ではウガンダのケースを取り上げる。

 ウガンダは、近年、約5~6%の経済成長と抑制されたインフレを実現しており、サブサハラアフリカの成功事例とされる。しかし、人口がわずか3270万人で、国民1人当たり国民総所得も460ドル(2009年、出所:世界銀行)であるため、国内の市場規模は限定的だ。

ウガンダでは中小企業政策の整備・実施は今後の課題

ウガンダの首都カンパラ(ウィキペディアより)

 ウガンダでは、2025年に向けた「長期国家開発戦略」に開発・産業振興戦略が記載されており、その中期産業政策「中期計画(Medium-Term Competitive Strategy for the Private Sector)」に沿って企業の改革・民営化が推進されている。

 マクロ政策については、従前よりIMF・世銀が構造調整を支援してきたが、まだ具体的な中小企業政策は存在しないようだ。

 企業の民営化作業が進捗している中、次のステップとして中小企業振興が想定されてはいるが、まだ基本的なコンセプトも決定していない様子だった。政府内では中小企業政策の重要性への認識が広まっており、政策策定およびそのための制度整備は今後の課題だ。

 中小企業支援を所管する関連省庁は財務省・計画省・経済省(企業局)であり、零細・小企業が支援対象となっている。

 中・大企業については、観光省・貿易省・工業省(工業局)が支援を行っており、管轄官庁の一本化が検討されているようだ。観光省・貿易省・工業省(工業局)のスタッフ総数は10人程度であり、当局による政策策定の経験にも乏しいようだ。

 現在、包括的な中小企業支援策がないため、官民のビジネス開発サービス(BDS)機関が存在している。

 技術支援・職業訓練については、MTAC(Management Training and Advisory Center)、NVTI(Nakawa Vocational Training Institute)、UIRI(Uganda Industrial Research Institute)といった公的機関が存在するが、全国的に増加しつつある中小企業ニーズに十分に対応できている状況には思えなかった。