過去最高の業績を更新しているサムスン電子を筆頭に絶好調の業績が続くサムスングループが、最近、人事・採用制度に意欲的な改革に乗り出し韓国の経済界で注目を集めている。
グループの稼ぎ頭であるサムスン電子は、2012年7月から「1日最低4時間勤務制」を導入する方向で準備に入った。
フレックス制拡充で金曜日は半ドンも可能に
フレックス勤務時間制度の拡充版だ。1週間5日間の実働勤務時間を40時間とし、このうち1日の最低勤務時間を4時間とする。月曜日から木曜日までの間に少しずつ残業をして36時間勤務した場合、金曜日は午前8時から正午までの4時間勤務すればよいという制度だ。
現在、一部の研究所などでこの制度を試験的に実施しているが、早ければ7月にも全社に拡大するという。
サムスン電子は2009年初めにフレックス勤務時間制度を導入した。出勤時間を午前6時から午後1時までの間で自由に選ぶことができる制度だが、1日8時間(休憩時間を入れて実質拘束時間9時間)という勤務時間は決まっていた。
韓国の有力紙「毎日経済新聞」によると、韓国内の従業員10万人のうち約6割がこのフレックス勤務時間制度を利用しているが、1日の勤務時間が決まっていることで利用しにくいという声もあり、一気に制度を拡大することを決めたようだ。
ある別の財閥系企業の幹部は「金曜日に午前中だけの勤務でよいとなれば、サラリーマンのライフスタイルが劇的に変わる可能性もある。サムスン電子の制度がどう運用されるのか、じっくり観察したい」と言う。
サムスンの海外戦略を支える地域専門家制度
グループ全体では、サムスンの海外事業躍進を支える人材を養成してきた「地域専門家制度」の拡充に乗り出した。
この制度は、1990年に李健熙(イ・ゴンヒ)会長の強い指示で始まったと言われる。若手社員を1年間海外に派遣するのだが、通常の海外留学とはまったく異なる。一応、海外駐在という形式が多いが、派遣期間中に業務をする必要も、会社に行く必要もない。