本来のトヨタ生産方式を説くために始めた「本流トヨタ方式」の本コラムは佳境に入り、「ジャストインタイム」に並ぶ2本柱の1つである「自働化」の話に入って今回は13回目になります。

 前回は、トヨタでは自動車生産の最終工程である組み立てラインを品質保証の決め手とするために、「異常があったらラインを止めて直し、次工程に渡さない」という生産体制を作り上げたという話をしました。

 これは、豊田佐吉翁が発明したG型自動織機の「機械の自働化」に対比して、「作業者集団に対する自働化」という意味を込めて「もう1つの自働化」(通称「呼び出し紐方式」)とも呼ばれます。

 さて、前回は乗用車組み立てラインが舞台でしたが、今回はもっと一般的な「作業指示のやり方」についてお話しします。

ゴムホースの差し込み方は人によって様々

 以下の写真は、エンジンと車体をつなぐゴムホースの模型です。直径10ミリ、長さ125ミリのゴムホースで、55ミリ離れた2本のパイプに設計の狙い通りに組み付けた様子を表しています。

左から「写真A」「写真B」「写真C」
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 設計の狙いは、ゴムホースをそれぞれのパイプに20ミリ差し込み、ねじれていない状態とすることでした。「写真A」の状態では、2本のパイプ間をつなぐゴムホースは綺麗な半円状になっていて、左側のエンジンについているパイプが振動してもホースに無理な力はかかりそうもありません。まさに理想的な状態であると言えます。

 心配性の作業者は、20ミリ挿入せよとの指示を受けると、より確実なホース結合しようとして、しょせん目分量ですからついつい多めに差し込みがちで、25ミリ差し込んでしまう場合があります(「写真B」の状態)。