米司法省、アップルと出版大手5社を独禁法違反で提訴

米グッゲンハイム美術館で公開された「iPad(アイパッド)」用の電子書籍アプリ〔AFPBB News

 米司法省(DOJ)は11日、米アップルと出版大手5社が談合し、電子書籍の小売価格をつり上げた疑いがあるとして、ニューヨークの連邦地裁に提訴したと発表した

 司法省によると、出版5社のうち3社は既に司法省と和解することで合意しており、裁判所に提出した和解案が承認されれば、米アマゾン・ドットコムや米バーンズ&ノーブルなどの小売業者が自由に販売価格を決定できるようになり、問題が解決するとしている。

 提訴された出版社とは、独ゲオルク・フォン・ホルツブリンク傘下のマクミラン、英ピアソン傘下のペンギングループを含む5社で、そのうち和解に合意したのは、仏ラガルデール傘下のアシェット・ブック・グループ、米ニューズ・コーポレーション傘下のハーパー・コリンズ、米CBS傘下のサイモン&シュスターの3社。

 アップルと出版2社はコメントを出していないが、和解の道を選ばず司法省と全面的に争う構えだと伝えられている。

出版業界にもたらされた新たな取引形態

 この問題の中心は、アップルの故スティーブ・ジョブズ前最高経営責任者(CEO)がアイパッド(iPad)用の電子書籍販売サービス「アイブックストア(iBookstore)」を立ち上げる際に出版社に提案し、その後導入された「販売代理店モデル」と呼ばれる取引形態にある。

 それまでの書籍販売は、出版社が希望小売価格のおよそ半値で書籍を書店に卸し、価格は書店が自由に決めるという「卸売りモデル」で成り立っていた。

 ところがアマゾンが電子書籍端末「キンドル(Kindle)」の販売促進として、卸値を下回る価格、つまり採算度外視で電子書籍を販売し、そのことに出版社が懸念を抱いていた。

 そうしたタイミングでジョブズ氏が出版社に対し、アップルが販売価格の30%を受け取る代わりに、出版社が自由に価格を決められる販売代理店モデルを提案し、出版社はこれに飛びついたとされている。