週刊NY生活 2012年3月10日387号

 米ミリタリー・インテリジェンス・サービス(MIS、陸軍情報局)は主に日系人二世で構成され、第二次世界大戦中、さらに戦後の日本で、それぞれ約3000人が活躍した。ベテラン映画監督がこのほど、80人にも及ぶ関係者の証言を集めて、MISの知られざる歴史を描く記録映画「MIS~人間秘密兵器」(100分)を制作、4月6日(金)より米国主要都市で劇場公開される。

 「東洋宮武が覗いた時代」(08年)、「442日系部隊」(2010年)に続く、第二次大戦時の日系史を描く長編ドキュメンタリー三部作の完結版だ。

 クランクイン直前に交通事故で瀕死の重傷を負ったものの、リハビリを続けながら完成させた渾身の映画について、ロサンゼルス在住の監督に電話インタビューした。(聞き手/小味かおる

 当初から三部作の予定でしたか?

 「11年前にLAに来て、米国で生まれ日本で育ち米国に戻った帰米二世の方から、両方の国で非常に苦労したという話を直接聞いたのが日系史に興味を持ったきっかけです。6、7年前から構想はありましたが、3本作れるとは思いませんでした」

 LA在住邦人で映画人としての使命感でしょうか。

 「そんな大げさなものではなく、せっかくLAに住んでいるのだから、そして日系人ではないからこそ客観的な記録を残そうと思ったんです。記録映画の良さでもあり、危うさでもあるのは、監督の意志で勝手に方向が変わってしまうことで、そこは気を遣いながら作りました」

 442部隊より更に知られざる歴史ですね。

 「その通りです。MISがなかったら米国の占領政策はうまくいかなかった、そのことを日本人に知らせたいです」