米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)が中国を訪問したと報じられている。アップルは詳細について明らかにしていないが、広報担当者がメディアの取材に応じ「中国政府の当局者と会談した」と答えており、さらに「中国市場は我々にとってとても重要な市場。さらなる投資と成長に期待している」と述べたと伝えられている。
CEO就任後初めての訪中
クック氏は昨年6月にアップルの最高執行責任者(COO)として訪中しているが、8月にCEOに就任してからはこれが初めてとなる。
今回の目的は不明だが、英ザ・レジスター などのメディアによると、アップルは同国で様々な問題や課題を抱えており、それらを解決するためと見られている。
また米ウォールストリート・ジャーナルは、中国人ユーザーがネットに「故スティーブ・ジョブズ前CEOは自ら中国を訪問したことはなく、クックCEOはジョブズ氏が中国市場で達成できなかったことを実行している」と書き込むなど、今回の訪問は現地で好意的に受け止められたと報じている。
直営店展開や、アイフォーン販路拡大が目的か
アップルにとって中国は米国に次ぐ巨大市場。携帯電話の加入者数は世界一で、昨年はパソコンでも米国を抜いて世界最大の市場となった。
しかしながら同社のスマートフォンを取り扱う通信事業者は、同国第2位の中国聯通(チャイナ・ユニコム)と第3位の中国電信(チャイナ・テレコム)のみ。
この2社の加入者数合計を大きく上回る同国トップの中国移動(チャイナ・モバイル)とはまだ契約できておらず、アップルは中国移動が推進する「TD-LTE」と呼ばれる次世代通信技術にアイフォーンを対応させると言われている。
また中国本土におけるアップルの直営店はまだ5店舗しかない。米ブルームバーグによると、2008年にアップルが北京で1号店を出店した際の目標は2年間で25店舗というものだった。