中国のIT企業が米アップルのタブレット端末「アイパッド(iPad)」の上海での販売差し止めを求めた訴訟で、上海市浦東新区人民法院(地方裁判所)が2月23日に原告の訴えを退け、販売の継続を認めたと報じられた。
最大の経済都市で販売停止を回避
訴えていたのは中国本土における「iPad」の商標権を主張する広東省深センの唯冠科技(プロビュー・テクノロジー)。
同社はアップルのタブレット端末が商標権の侵害に当たるとし広東省恵州市でも提訴していたが、こちらは同市の地裁が17日、市内の家電小売りチェーンにアイパッドの販売停止を認める判断を下している。
米ニューヨーク・タイムズなどの海外メディアによると、今回上海の地裁は、中国のほかの裁判所でアイパッドの商標権を巡る審理が行われることを理由にプロビューの訴えを退けた。
プロビューは、各地の当局に対しアイパッッドの販売停止を求めたり、税関当局に輸出入禁止を求めたりするなど、アップルに対する圧力を強めている。
そうした中、今回上海という中国最大の経済都市でアップルに有利な判断が示され、同社は最悪の事態を回避できたと伝えられている。しかしこの係争、プロビュー側は徹底的に戦う姿勢を示しており、アップルにとってはまだ先行きが見えない状況が続きそうだ。
まもなく高裁で審理開始
プロビューグループは2001年に「Internet Personal Access Device」を意味する名称として中国で「iPad」を商標登録。これを2009年にアップルがグループの台湾子会社、唯冠電子(プロビュー・エレクトロニクス)から5万5000ドルで買い取ったとされている。
アップルによれば、このとき同社は、世界10カ国をカバーする商標権を取得しており、それには中国の商標権も含まれる。しかしプロビュー側は中国の商標権は譲渡しておらず、深センに拠点を構えるプロビュー・テクノロジーが今も持っていると主張している。