中国におけるタブレット端末「アイパッド(iPad)」の商標権を巡る係争で米アップルは頭の痛い問題に直面しているようだ。広東省恵州市の地方裁判所は17日、市内の家電小売りチェーンの店舗に対しアップル製タブレット端末の販売を停止するよう命じた。

アップル、アジア企業と小型タブレットPCを開発中 WSJ

台湾・台北のアップル店舗〔AFPBB News

 中国や米欧のメディアが20日に一斉に報じたもので、それらによると、訴えを起こしていたのはアイパッドの商標権を主張する広東省深センのIT企業、唯冠科技(プロビュー・テクノロジー)。

 同社は複数の裁判所で同様の訴えを起こしているが販売停止の判決はこれが初めてとなる。

 英フィナンシャル・タイムズは、「この判決は1つの都市の1つの小売店のみを対象にしたもので、アップルに及ぶ影響は今のところ限定的。しかしプロビューはほかの大型小売店も訴えており、今回の判決をきっかけに訴訟は拡大しそうだ」と伝えている。

「買った」「売ってない」、食い違う双方の主張

 この問題、各メディアの報道を総合すると、いきさつは次のようになる。

 プロビュー・テクノロジーは、香港で上場する持株会社「唯冠国際控股(プロビュー・インターナショナル・ホールディングス)」の子会社。

 この持株会社は台湾にも子会社「唯冠電子(プロビュー・エレクトロニクス)」を持つが、AP通信によるとグループは既に破産申請をしており、持株会社の株は香港の株式市場で2010年8月から取引停止になっている。

 そしてグループが「Internet Personal Access Device」を表す名称として「IPAD」を商標登録したのは2001年。この商標権をアップルが2009年に台湾のプロビュー・エレクトロニクスから5万5000ドルで買い取ったとされている。

 アップルの主張によれば、この時同社は世界10カ国をカバーするワールドワイドの商標権を取得したとのことだが、その後、深センのプロビュー・テクノロジーが中国の商標権は我が社が保有していると主張した。この食い違いが、今回の問題の争点になっているというわけだ。