前回の『データが示す「鎖国へ向かう国・ニッポン」』では教育、経済、外交などの分野における日本の国際的ステータスが低下していることを述べました。今回は海外に目を転じ、それらの分野における諸外国のグローバル人材戦略を見てみたいと思います。
教育~グローバル教育立国への熾烈な争い
教育のグローバル化を図った諸外国の取り組みについて、まず留学生の送り出しから見ていきます。
EUはエラスムス計画*1を通じて、学生の10人に1人は自国以外での留学経験を持たせ、「ヨーロッパ人」の育成をしようとしています。
*1 EU加盟国間の人物交流協力計画の1つであり、大学間交流協定等による共同教育プログラムを積み重ねることによって、「ヨーロッパ大学間ネットワーク」を構築し、EU加盟国間の学生流動を高めようする計画(参照:文部科学省ウェブサイト)
さらに、ヨーロッパの教育を国際化させるために同計画と並行してエラスムス・ムンドゥスというプログラムも施行されており、ヨーロッパ以外の学生にも広く交流の機会を提供しています。
韓国では「グローバルリーダー10万人養成プロジェクト」として、30歳以下の青年を対象に、2009年から2013年までの5年間で海外での就業者5万人、海外でのインターンシップ3万人、海外ボランティア2万人を実現させることを推進しています。
子供に英語圏の名門中高に通わせるため、英語圏に渡った妻と子に韓国から仕送りするお父さんがキロギアッパ(雁父さん)と呼ばれているのはよく知られています。
現在、韓国の大手企業に就職するにはTOEIC900点以上は当たり前で、最近の大企業はソウル大学のような国内の一流大学よりも、海外の大学出身者を好む傾向にもあるそうです。