まもなく発表される米アマゾン・ドットコムの10~12月期決算に先立ち、同社が昨年発売したタブレット端末「キンドル・ファイア(Kindle Fire)」の売れ行きについて様々な予測が伝えられている。
キンドル、搭載アプリの利用が急増
例えば、モバイルアプリケーションの解析や市場調査を手がける米フラーリ(Flurry)は、昨年11月にわずか3%だったキンドル・ファイアのアプリからの接続率が今年1月には36%に増加しており、同端末の所有者が急増したことがうかがえると報告している。この36%という割合は韓国サムスン電子の「ギャラクシー・タブ(Galaxy Tab)」と同率だという。
一方、米国の金融サービス大手スティフェル・ニコラスのアナリスト、ジョーダン・ローハン氏が昨年10~12月期におけるキンドル・ファイアの販売台数を600万台と予測し、こちらも話題になっている。
同氏は事前予測でキンドル・ファイアの台数を500万台としていたが、同端末が非常に好調に売れていると分析し、上方修正した。
クライアント向けに出した調査ノートでは、「ファイアはその魅力的な価格と、アマゾンの忠実な顧客層に支えられ、タブレット市場で有利な地位を確保した」などと述べている。
アマゾンがキンドル・ファイアを発表し、米国で予約販売を開始したのは昨年の9月28日。出荷は11月14日に始めている。その後アマゾンは、同端末が同社の米国サイトで11週連続で最も売れる商品になったと発表したが、具体的な数字については明らかにしていない。
端末の価格とコンテンツ販売は逆相関関係
キンドル・ファイアはマルチタッチカラーディスプレイ搭載ながら直販価格は199ドルと、米アップルの「アイパッド(iPad)2」の廉価モデル(499ドル)の半分以下だ。ただ、同端末の製造原価は201.70ドルで、売るほどに損をする端末とも言われている。このことを問題視する投資家も多いが、アマゾンは端末によってもたらされる顧客の生涯価値で投資を回収できると見込んでいる。