米国の市場調査会社IHSアイサプライが2日、世界のタブレット端末市場に関する調査予測を発表した。それによると米アマゾン・ドットコムの「キンドル・ファイア(Kindle Fire)」の販売が好調に推移しており、この10~12月期に390万台が出荷されると予測している。

登場直後に一気に業界第2位に

アマゾンのタブレット「キンドル・ファイア」、賛否両論のスタート

アマゾンの「キンドル・ファイア」〔AFPBB News

 IHSアイサプライが予測する同期間における米アップルの「アイパッド(iPad)」の出荷台数は1859万8000台で、キンドル・ファイアはこれにはまだ遠く及ばない。

 しかし韓国サムスン電子の端末を上回り、業界で第2位の位置に着くという。

 今年7~9月期の実績を見ると、アイパッドの出荷台数ベースの市場シェアは69.7%だった。この後サムスン(シェア7.8%)、米書店チェーン大手のバーンズ&ノーブル(同4.7%)、台湾HTC(同1.6%)と続いていた。

 一方アマゾンがキンドル・ファイアの予約販売を開始したのは9月28日で、出荷開始は11月14日。つまり同端末の7~9月期の出荷台数はゼロ。キンドル・ファイアは登場直後に猛烈な勢いで成長し、10~12月期は13.8%のシェアを獲得するとIHSアイサプライは予想している。

 同社タブレット/モニター調査部門シニアマネージャーのローダ・アレクサンダー氏は、「アイパッドの登場からおよそ2年半。初めてその成功の秘訣と同等のものを持つ端末が登場した」と述べている。

 同氏によると、「キンドル・ファイアは、その低価格路線や、マーケティング手法、豊富なコンテンツ、ビジネスモデルといった組み合わせが正しかったことを示しており、まったく新しい顧客層に訴求している」のだという。

他社にまねのできないビジネスモデル

 アマゾンは米国でキンドル・ファイアを199ドルで販売しているが、IHSアイサプライは同端末の製造原価が、201.70ドルと見ている

 つまりキンドル・ファイアは売るほどに損をする端末なのだが、アマゾンは端末によってもたらされる顧客の生涯価値で投資を回収できると見込んでいる。