2011年もいよいよ終わりが近づいた。年の終わりを機に日本の内外の出来事を振り返ると、国難と呼べる東日本大震災が3月に起きたことが、当然ながら最初の重大ニュースとして想起される。だがその次には、日本の安全保障の環境が激しく変わったことが大きな出来事だと言えよう。

 ただし安全保障の環境の変化は、地震や津波のように目にみえる一瞬のニュースとして起きはしない。いくつもの現象や傾向が重なり合い、相乗し合い、巨大な潮流のような変化を生んでいく。そんな変容だと言える。

 だが、その変化への日本の対応能力があまりに貧弱に見えるのである。この点にはまさに日本という国家への大きな危険がちらついている。新しい年の日本にとって、切迫した課題だと言っても過言ではない。

 日本の安全保障の変容としては、まず中国の軍事動向からの大きな影響が挙げられる。中国の海軍や空軍の大増強は、もう疑問の余地のない事実である。その軍拡は中国の領有権の主張や資源獲得の争いに陰に陽に利用される。

 日本との領有権紛争や資源争いでも、中国がそうした軍事力の効果を少なくとも「無言の威嚇」として使うという現実は2011年には様々な形で示唆され、実証されたと言える。

 さらには、北朝鮮の金正日総書記の死去による政治の激変があった。北朝鮮の次期最高首脳として28歳の金正恩氏が選ばれたが、内部からの反発が火を噴いた場合、その混乱が日本にも影響を及ぼすことは不可避だろう。

 まして北朝鮮はすでに日本全土を射程範囲に収めた弾道ミサイルを多数、保持している。しかも、今や年来の核兵器開発の成果を弾道ミサイルに装備できる核弾頭として完成させる日が近づいている。

無抵抗平和主義の放棄を日本に迫る米国

 他にも日本の安全保障への暗い影が広がる要因はあるが、まず中国と北朝鮮という2つの原因から考えてみよう。日本への影響を米国側の視点や期待から眺めると分かりやすい。

 米国がイラクやアフガニスタンからアジアへと軍事戦略の最重点をシフトさせる方針を打ち出したことも、2011年の大きな出来事の1つだった。