長年にわたる損失隠しが発覚したオリンパス。東証は近日中に同社株の上場維持か廃止を決める。その後は捜査当局が同社の損失隠し問題をどのように事件化していくかに移るだろう。

 東京地検、警視庁捜査二課は12月21日、同社本社や関係先に強制捜査を実施。年明けにも旧経営陣を中心に関係者を逮捕、という段取りに移るものとみられる。

 容疑は金融商品取引法の有価証券報告書の虚偽記載と偽計だが、この他にも会社法違反容疑、特別背任がどう問われるかが注目点だ。

捜査当局が狙っているのは「特別背任容疑」?

 オリンパスの第三者委員会によれば、同社の損失隠しは1990年代から始まった。上場企業による明確な犯罪行為であり、金融商品取引法の有価証券報告書虚偽記載容疑が濃厚なのは周知の事実だ。ただ、立件する側の捜査機関としてはやりづらい、というのが本音のようだ。

 「違法行為のかなりの部分が時効にかかっている上、先送りに用いられた取引の一つひとつを会社側の報告とともに潰していく作業は膨大で気が遠くなる」(関係筋)

 有報の虚偽記載の公訴時効は7年であり、捜査当局が過去の違法行為のどこまでを遡って立件するかが焦点となろう。

 虚偽記載が行われていた間、同社は決算を粉飾していた。これに関し、オリンパスは12月15日の会見で、配当が可能な利益が不足していたにもかかわらず、高水準の配当を行ってきた事実を開示した上で、「結果的に違法配当だったと認識している」(同社経理部長)との考えを明らかにした。