東日本大震災が起きた直後から、被災者への支援物資配分と高速道路の活用に着目してきた。大震災(3.11)から8日たった時点で、某企業が準備したカップ麺100万食も半分しか配分されず、粉ミルクや下着なども相当数準備されたが、発送要請もなく急場の役に立たなかったという。

 寸断された道路は復旧してもガソリンと輸送手段の不足という体たらく。高速道路も早いところでは翌日に応急復旧したが1車線通行は数日続き、一般道へのアクセスが弱く、救援物資などの搬送に支障をきたした。

 サービスエリアやパーキングエリアは道の駅や防災拠点として活用されたところもあるが、全体に政治主導が空回りし無残な姿をさらけ出した。

官庁のセクショナリズム

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台湾では高速道路上で戦闘機の発着訓練が行われている(写真は高速道路から発進するF16)〔AFPBB News

 高速道路の建設計画が日本全国に張り巡らされていた1970年代中期、陸上幕僚監部に勤務していて、高速道路建設については非常時に滑走路などとして活用できる視点で建設すべきではないかという意見を持っていた。

 担当正面ではなかったが、留学時の授業並びに国外軍事技術情報および装備研究に携わっていた関係で、こうした考えを強く持つようになっていた。

 日本では特異な考えであったろうが、真剣に国土防衛を考え、高速道路についての諸外国の状況を概観するならば、決して突飛な考えでも特異な意見でもなかった。

 米欧や韓国等、有事対応を真剣に考えている国においては、当然視されている考えである。他方、侵入国の軍隊が高速道路を利用することを見越して、途中で障害化し、逆に行動を阻害することも当然視されている。

 関係する部署に意見を述べたりしたが、防衛庁(現防衛省)でもあえて取り上げようとする者はなくセクショナリズムがみられた。

 それならばと、ある筋を通して建設省(現国土交通省)に問い合わせてもらったが、高速道路を建設すること自体に意義を見つける時代で、道路の他への活用など余裕がなかった。

 こうして、全国に張り巡らされた高速道路網であるが、非常時に滑走路としても使用できるようになっているところは寡聞にして知らない。

 今次大震災に際して、高速道路の利用がほとんど報じられなかった背景には、存在したが思ったほどの役に立たなかったと見る以外にないであろう。全国に張り巡らされたせっかくの公共財が、官庁のセクショナリズムで、非常時に役立たなかったのである。