3月鉱工業生産、前月比1.6%増 プラスは6か月ぶり

自動車の原材料はほとんど海外に依存している。それを日本に運ぶのにもエネルギーが必要、工場で組み立てるのにもエネルギーが必要〔AFPBB News

 当然のことながら、新車を造るためにはエネルギーが必要である。まず鋼板の原料となる鉄鉱石を採掘・精製しなければならない。内装品や化学繊維を使ったシートは石油が原料だ。原料は遠い海外から日本に輸入している。工場を稼働させるにも、もちろんエネルギーが必要となる。

 製造から廃車にするまでの全期間に使うエネルギーを考えた場合、ハイブリッド車は、原材料の輸入や加工などを含めた製造過程において通常のガソリンエンジン車の1.5倍程度のエネルギーが必要と言われている。

 ハイブリッド車が低燃費であることは誰もが知っている。しかし、製造時に使用するエネルギーが大幅に増加していることは、意外と知られていないハイブリッド車の弱点だ。

 さらにエコカー減税・補助金も功罪相半ばしている。インセンティブに刺激されて予定よりも早めに車を買い換えた人も多かった。個人レベルでは購入費用もガソリンも節約できるお財布に優しい選択であっても、大きなエネルギーを投入して造ったクルマを早めに買い替えることは、地球全体の有限のエネルギーの使い方としては、ずいぶんと「もったいない」ことをしていることになる。

燃費改善が省エネを実現しないパラドックス

 日本が本格的に省エネ技術に取り組むようになったのは、1970年代に経験した2つの石油ショックがきっかけだった。冷蔵庫、洗濯機、電球、エアコン、車などありとあらゆる製品で省エネ技術は飛躍的な発展を遂げた。今や、日本の省エネ技術は世界のトップを走っている。

 しかし、こうした優れた技術がエネルギー問題の解決に結びつくかどうかは別問題である。

 図1は、日本の最終エネルギー消費とGDPの推移を示したグラフだ。ありとあらゆる製品で省エネ技術が飛躍的に向上したにもかかわらず、日本全体での最終エネルギー消費は、石油ショック時代よりも大幅に増大している。

 実はこの現象は、日本に限ったことでも、今に始まったことでもない。