「サンドイッチ世代」と聞いたら、どんな人たちを想像するだろうか。

 ネーミング好きの米国人は、親と同居し、同時に子育てもしている中年夫婦を指して「サンドイッチ世代」と呼んでいる。親と子供に挟まれたサンドイッチ状態で、3世帯同居をしているということである。

 ここから派生して、「クラブハウスサンドイッチ型」は、祖父母+両親+夫婦+子供(または、両親+夫婦+子供+孫)の4世帯同居を指し、「オープンサンドイッチ型」は、夫婦、または1人で両親と同居していることを指すという。

 ここまでくるといい加減にしろと言いたくなるが、サンドイッチ世代という言葉は辞書に載っているだけでなく、毎年全国的な「サンドイッチ世代月間」まで設定されている。

 以前からあったこの言葉が、最近頻繁にメディアに再登場するようになっている。これまでは珍しかった親との同居が、全米で急増しているためだ。

 例えば、オバマ大統領。彼は、ホワイトハウスで義理の母親と一緒に住んでいる。いわば、サンドイッチ世代の象徴的な存在だ。

「ブーメラン世代」も加わって話はさらに複雑に

 米国で同居が増えている理由は大きく分けて2つある。

 1つは、不況で職や家を失い、親族の家に転がり込むケースが増えているということ。もう1つは、以前は老人ホームや介護施設に入れていたが、費用を支払えなくなり、高齢化した親のケアを自宅でする世帯が増えていることだ。

 現在、米国全人口の16%、およそ5140万人が2世帯以上の同居をしているという(Pew Research Center 2010)。2007年から2009年にかけての1年余りだけで、500万人が親族との同居生活を始めている。

 戦後、急速に進んだ核家族化は今回の経済危機で止まり、米国は複数世帯の同居時代に逆戻りしつつある。