高付加価値製品でも後塵を拝する日本メーカー
現在、中国では、液晶を主体とする薄型テレビの好調が続いている。農村部では、「初めてテレビを買い求める農民層が、30インチ超の液晶を当たり前のように購入している」(外資系証券アナリスト)という。
また、都市部では60インチ超の大型テレビが爆発的に売れ始めている。「都市部の住宅環境改善を背景に、一握りの富裕層だけでなく、公務員などの中流層にまで高額品を買い求める動きが広がりつつある」(同)ためだ。
また、映画「アバター」の大ヒットが起爆剤となり、3D対応製品も市場に投入され始めた。ただし、超大型テレビ、3Dともに、開発で先行したのは韓国勢である。「日本企業はリストラや販路の整備などに時間を取られた」(別の外資アナリスト)ため、後塵を拝している。
ここ数年で薄型テレビのコモディティー化が一気に進み、川下の価格競争が熾烈さを増しているのは周知の通り。「付加価値の高い製品を生み出さなければ、日本製品の地位が一層低下する」(同)ことは明らかだ。
だが、日本のお家芸だった高付加価値製品についても、今や韓国勢が先を走っているのが実状。ある専門家は、「日本勢は部品・部材の調達、国際的な販売体制など、あらゆる面でガラガラポンのリセットが必要」(米系コンサルタント筋)との見方を示す。だが、その道のりは極めて厳しいと言わざるを得ない。