3月17日の日銀金融政策決定会合で新型オペの拡充が決まった際には、日経新聞が3月5日に掲載した記事「日銀、追加緩和を検討」が、市場に大きなインパクトを及ぼした。4月は金融政策決定会合が6~7日と30日の2回開催されるわけだが、30日の会合をにらんだマスコミ各社による観測報道が、今回は新聞ではなく電子メディアを中心に、早くも相次いでいる。それぞれについて注目される部分を引用すると、以下のようになる。
◆共同通信(4月1日夕刻)「日銀、追加緩和論が浮上 景況感改善もデフレ懸念」
「日銀は、デフレ脱却を目指す政府との協調を念頭に追加緩和の是非を議論していくとみられる」
「日銀内には『景気に過熱感があるわけではなく、追加緩和は検討対象』(幹部)との意見が出ている。具体的には、新型オペで供給する資金の返済条件を現行3カ月から6カ月程度に延長することなどが検討対象となっているもようだ」
◆ブルームバーグ(4月2日早朝)「日銀は景気、物価を上方修正へ── なお残る30日会合で追加緩和の可能性」
「(4月)30日の会合では、2011年度までの物価見通しがたとえ上方修正されても、日銀が物価安定の中心とする1%に及ばないため、追加緩和を行うことでデフレと戦う姿勢をあらためて示す可能性がある」
「次の一手は、(3月17日の)同会合で10兆円から20兆円に増やした資金供給額をさらに10兆円上積みすることが有力な選択肢となる。オペ期間の6カ月への延長は市場機能を損なう懸念から見送られる公算が大きい」
「展望レポートでは、足元の景気が上振れ気味なことに加え、為替相場の円安や原油価格の上昇などから、2011年度の(CPIコア)見通しは1月の中間評価(前年度比0.2%低下)から、ゼロ近傍に上方修正される可能性がある」
◆日経QUICKニュース(NQN)(4月2日昼)「焦点:日銀会合景気『持ち直し』確認展望レポートへの地ならしも」
「(4月6~7日の会合では)30日の会合でまとめる『経済・物価情勢の展望』(展望レポート)への地ならしとして、昨年11月以降『持ち直している』としてきた景気認識を変更するかどうかが焦点となりそうだ」
「複数の日銀幹部は『2003年の景気回復局面と似ている』との印象を持つ。当時の日本経済は外需主導で持ち直したものの、家計への波及効果は乏しかった」
「先行き、物価下落幅の縮小が遅いようだと追加緩和策を求める声が出てきそうだが、今のところ日銀への風当たりは穏やかなようだ」
◆ロイター(4月2日夕刻)「[焦点]日銀は『景気やや上振れ』の認識、デフレ克服に向け政策対応の検討継続も」
「景気に明るい兆しが見られる中、シナリオとのかい離をチェックする第1の柱、リスク要因を点検する第2の柱に照らしても、追加緩和を早急に検討しなければならないとの切迫感は、日銀内ではほとんど見られない」
「3月の追加緩和では、昨年12月に導入した固定金利での共通担保資金供給オペ(新型オペ)の供給額拡大で対応したが、同オペのこれ以上の拡充は容易でないとの声が日銀内では少なくない。供給額をさらに拡大すれば、他のオペとの兼ね合いが難しくなるとの声もある。期間を3カ月からさらに延長すれば、長めの金利押し下げには有効なものの、オペの機動性が低下するとの指摘もある。市場機能や金融機関の収益のさらなる低下も予想される」
◆時事通信(4月2日夜)「日銀決定会合、物価見通し上方修正を視野」
「日銀は2011年度の消費者物価見通しをマイナス0.2%としているが、今回の展望レポートでゼロ%付近に上方修正する公算が大きい。ただ、2月の消費者物価指数が12カ月連続でマイナスとなるなどデフレ長期化への懸念は払拭されていない。このため、日銀は現在の極めて緩和的な金融環境を維持し、追加緩和の検討も排除しない考えだ」
各社の報道から共通項と見なすことができそうな点を列挙すると、以下のようになる。
・日銀は展望レポートで、景気判断を前進させる。
・日銀は展望レポートで、2011年度CPI(消費者物価指数)コア見通しをゼロ%近辺に上方修正する。