3月30日にコンファレンスボードが発表した米3月の消費者信頼感指数(1985年=100)は、総合で52.5(前月比+6.1ポイント)。事前予想中心を上回ったため、市場で株買いの材料になった。だが、図表1から分かるように、米国の消費マインドは、「リーマン・ショック」後に記録したボトムからは上向いたものの、その後は頭打ち感が強い、ボックス圏とでも形容できる状況にある。コンファレンスボードは発表資料の中で、今回の調査結果について、「全体として、消費者信頼感の水準は昨年春以降、目立って変化していない」と結論付けた。今回3月分のリバウンドはおそらく、前回2月分で東海岸の豪雪の悪影響を受けて悪化した反動にすぎない。しかも、そのリバウンドの力は脆弱である。

 総合指数52.5の内訳を見ると、現況が26.0(前月比+4.3ポイント)、期待が70.2(同+7.3ポイント)。いずれも上昇したわけだが、現況は前々回1月分の25.2を小幅上回ったものの、期待は1月分の77.3に遠く及ばなかった。結果として、総合は1月分の56.5という水準を回復できなかった。

 期待の内訳で筆者が注目しているのは、所得についての数字の回復力が弱いことである。回答比率「所得増加期待」から「所得減少懸念」を差し引いて計算される期待・所得DIは、今回▲7.1。2月の▲7.7からは小幅改善したものの、1月の▲5.3よりも一段低い水準にとどまったままである。

 企業経営者の側でも、雇用面の意識は、改善が鈍い。米チーフエグゼクティブが毎月公表しているCEO(最高経営責任者)信頼感指数を見ると、全体の指数に比べ、雇用信頼感指数は動きが弱い。

 米CEO信頼感指数の直近2月分を見ると、86.1(前月比▲7.5ポイント)と3カ月ぶりの低下だが、均してみると上昇基調は維持されている。その内訳の1つである雇用信頼感指数は、2月は69.2(前月比▲7.7ポイント)。「リーマン・ショック」が発生した2008年9月の水準である100.9に比べると、約3割も低い水準にとどまっている。

 日米の市場ではこのところ、株価が堅調に推移し、長期金利が上昇するという動きが出ている。しかし、株高の中心点にある米国の株価動向について言えば、流動性相場の色彩が濃いのではないか。その理由付けとして、米国経済がバブル崩壊後の構造不況を脱したという明確なエビデンスがないまま、経済指標などの「部分的な好転」をそのまま拡大・延長して、「全面的・持続的な回復」のシナリオを描いている感が拭えない。

 しかし、白川方明日銀総裁が昨年4月に米国で発した「偽りの夜明け」発言が示す通り、バブル崩壊後の景気本格回復実現は、決して容易なことではなく、そこに行き着くまでの道のりにはアップダウンがつきまとう。楽観的な景気回復シナリオに基づいた株高の限界が、4-6月期中には明らかになるものと、筆者は予想している。