新年度スタート。進学・就職で新しい土地での生活を気持ちよくスタート――のはずが、部屋の隅には引っ越しで使った段ボールが積み重なったままという人も少なくないのでは?

 ガムテープをはがして畳み、ひもで束ねて、それぞれの土地のゴミ出しルールに従って処分するのは意外と手間がかかる。何よりも、何十箱もの段ボールを使い捨てにするのはもったいない。

 そんな手間やゴミの増加を最小限に抑えた画期的なアイデアが、カリフォルニアに登場した。

 耐久年10年と丈夫な再生プラスチック製の箱をレンタルできるのだ。箱は自宅まで配達し、新居で回収してくれる。蓋を閉じれば密閉する構造のためテープ張りは不要だ。何度も繰り返して使用するのでゴミの軽減につながる。

400回まで繰り返し使える

「リコパック」のLサイズ(耐久重量は約22.6キログラム) 以下、写真は全て「レント・ア・グリーンボックス・コムからの提供

 レント・ア・グリーンボックス・コムは、ゴミから作ったほぼ100%再生プラスチックの箱「リコパック(recopack)」を、引っ越し用にレンタルする。

 材料はリサイクル価値の高いプラスチックで、埋立地やリサイクルセンターから1カ月毎に250トン購入している。また、緩衝材などの材料として古紙、食品のパッケージ類、オムツ、プラスチックボトル(蓋も)、再生アルミ缶などを無料で引き取っている。

 サイズは3種類。Mサイズ(56×35.5×35.5センチメートル、耐久重量約18キログラム)。Lサイズ(65×38×31センチメートル 耐久重量約22.6キログラム)。XLサイズ(66×48×37センチメートル、耐久重量約25キログラム)。

「リコパック」の利用者に「エコ賞」を授与している。ロサンゼルスの有名なギャラリーも「リコパック」で引っ越しをした

 レンタル期間は配達日と回収日を含めて2週間。個数は25個、50個、75個、100個から選べる。単身の引っ越しなら25個必要だという。希望があればこれ以上も対応する。サイズの組み合わせは自由に決められる。

 25個のレンタル料金は129ドル(約1万1700円、1ドル90.5円計算)。階段やエレベーターで室内まで運んでもらうと19ドル(約1700円)の追加料金が発生する。延長料金は1週間で29ドル(約2600円)。つまり、25個を3週間借りると1万6000円。同じ条件で100個借りると3万4000円となる。原則は最長3週間のレンタルだが、これ以上でも相談に応じている。

「リコラベル(reco-label)」に荷物の中身を書き込んでリコパックに貼る。使用後はトイレに流せる

 新居で荷をほどいたら、空いた「リコパック」は20個まで積み重ねておくことができる。場所を取らないのはうれしい。回収は電話で連絡をする。

 「リコパック」は400回まで再利用可能。製造には特許を取得したナノテクノロジー技術を用いている。米国では1人当たり生涯に平均16回転居し、1回に段ボール箱最低40個(4人家族なら最低125個)を使用するというから、段ボール箱の消費・廃棄がいかに抑えられるかが想像できる。

 役目を終えても「リコパック」はゴミにならない。98%を新しい「リコパック」の材料にしている。また、「リコパック」の運搬も環境に配慮して、廃油(食用油)とバイオ燃料使用のトラックにしている。