米国でも日本でも、サイバー攻撃が波紋を広げ始めた。サイバー攻撃とは、コンピューターのネットワークへの攻撃である。日本では衆議院や参議院の各議員の事務所や三菱重工業のような防衛産業の中枢にサイバー攻撃がかけられた。
その発信源はほとんどが中国だという証拠が指摘されている。もし中国だとすれば、中国のどのような組織が米国や日本のコンピューターネットワークに攻撃を発してくるのか。
その発信源がワシントンで明らかにされた。結論を先に言えば、日米両国にサイバー攻撃をかけてくる最大の仕掛け人は中国人民解放軍の「総参謀部 第3部」という組織だというのだ。
米国の首都ワシントンでも2010年から2011年にかけて、サイバー攻撃の被害が頻繁に伝えられるようになった。
サイバー攻撃には大別して2種類がある。第1はコンピューターネットワークへの侵入である。情報を盗むことが主目的となる。第2はコンピューターネットワークの攪乱や破壊である。米軍の司令部がコンピューターを通じて前線の部隊に命令を送るのを外部から妨害すれば、軍事的な攻撃にも等しくなる。
米国では、国防総省関連の電子メール網や、中国批判で知られる有力議員の事務所のコンピューターネットワークへのサイバー攻撃が相次いでいる。米国大企業のサイトにも侵入や破壊の試みがあった。また最新の報告では、米側の人工衛星に対して、明らかに中国からの発信とみられるサイバー攻撃が仕掛けられたと指摘された。
総要員13万人の通信諜報活動部隊「総参謀部 第3部」
さて、こうした背景の中で、これまで国防総省の中国部長などを歴任した中国軍のハイテク研究家、マーク・ストークス氏らは、11月下旬、「中国人民解放軍の通信諜報とサイバー偵察の基盤」と題する調査報告を作成した。
同氏は現在、民間の安全保障研究機関「プロジェクト2049研究所」の専務理事を務めており、この報告も同研究所の調査結果として公表された。ストークス氏を中心に同研究所の2人の専門家が調査の作業に加わっている。