家でも「席替え」のすすめ
両方の奥歯で噛むことを意識しよう

2011.11.28(Mon) 坂本紗有見
筆者プロフィール&コラム概要
銀座並木通り坂本矯正歯科クリニック院長 坂本紗有見(撮影:前田せいめい)

 「食事をきちんと噛んで食べる」 そんな当たり前のことに、驚くほどたくさんの効用があります。よく噛むと胃腸の負担が減ります。満腹感が出て、食べ過ぎや肥満を防止します。リズミカルな動きが口の周辺、顎の筋肉を発達させ小顔・老化防止効果もあります。健康にも、美容にもいいことずくめ。厚生労働省も「噛ミング30」として、食事一口30回噛むことを推奨しています。

 「噛むことは大切」という知識は皆さんの頭の片隅にもあると思いますが、いい大人が食事の時に「1、2、3、4、5・・・」と数えながら食べるのも間が抜けているので、実際のところは「噛む」ことを真剣に意識して食事をしている人は少ないのではないでしょうか。口に入れたものが難なく呑み込める程度の大きさになったことを「ちゃんと噛めた」と思い込んでいませんか? きっと、あなたも「噛んでいるつもりで、実は、噛んでいない」一人です。

唾液が出てくるまで噛む!

 そこで、「きちんと噛む」のことの意味・意義を実感してもらうために、皆さんに1つ課題を出します。干しぶどうと時計をご用意下さい。干しぶどうを1粒、奥歯だけで1分間ひたすらかみ続けて下さい。

 小さな干しぶどう1粒、その気になれば2~3回噛んだだけでも飲み込めます。それを敢えて、1分間噛み続けていると、唾液がたくさん出てくるはずです。唾液と一緒に干しぶどうがノドに流れ込んでしまいそうになるのをなんとか押しとどめて、さらにかみ続けていると、干しぶどうの甘味が増してくるように感じるかもしれません。

 「きちんと噛んで食べる」ことが大切なのは、唾液に大きな理由があります。

 唾液の中には、デンプン質を分解するアミラーゼなどの酵素が含まれています。よく噛んで食べると胃腸の負担が減るのは、酵素の働きによって口の中で消化の第1ステップが行われるからなのです。

 2~3回モグモグと噛んだだけでは唾液は十分に出てこないので、この時点では単に、食べ物を細かく切断したに過ぎず、消化とは言えません。まだ飲み込むには早すぎます。唾液を出すためには、舌や顎を動かして、唾液腺を刺激して下さい。その方法は簡単です。「前歯ではなく、奥歯で繰り返し噛む」と、自然と顎や舌の付け根が動くのです。また、酵素と混ざることで食べ物は美味しさを増します。塩むすびで試してみると、コメ本来の甘味が実感できますよ。

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経験のない超高齢化社会へと加速していく日本。これからの発展を考える上で、その全ての基盤となる「日本人の健康」は重要性となる。ここでは「健康」について様々な視点で伝えていく。