旅をしていて常に不安なのが、パスポートや財布といった必需品の管理である。ガイドブックにはホテルのセーフティーボックスに入れておけなどと書いてあるが、旧共産圏諸国などでは逆にパスポートを持っていなければいきなり警察に連れて行かれる危険性がある。
途上国の旅では身軽さが大切
また、支払いには現金ではなくクレジットカードを使えと言ったって、途上国でそんなもの通用する場所などほとんどないから、やっぱり現金は必要だ。第一、毎日移動を続けるような旅をしていたら、貴重品は常に身につけたままである。
ドデカイ荷物はバックパックとて、しょせんは「ネギしょった鴨」である。危ない時は逃げるに限るから、とにかく常に荷物は軽く、そして両手は空けておくことが大原則である。ただ、そうしたところで、欧米諸国ではいきなり飛び道具が使われるから手の打ちようもない。
コロンビア、ベネズエラ、パナマといった中南米諸国では、街を歩いていると噂で聞くほど治安は悪くないようにも思えるが、いきなり誘拐目的の武装強盗に路線バスごと襲われることも珍しくなく、全く気が抜けない。インチキガイドにだまされないことも大切だ。
「超先進国」米国の都市部では、1本道をはずれただけで妙に殺伐としたところに出てしまい、昼間でもうす気味悪く感じることも多い。
ロサンゼルスのような名の知れた都市の危険地帯は情報をしっかりチェックしておけば大丈夫だが、同じカリフォルニアでもオークランドのように大きいがあまり情報のない都市では、どこまでが安全地帯なのか判断もつきにくく、迷い込んでしまうこともあるから要注意だ。
欧米よりずっと治安が良いアラブ圏
日本人は平和ボケだから、などと言われることも多いが、日本人の問題というより欧米の治安の悪さの方が異常であることは議論するまでもない。
イラクやパレスチナなどで頻発する自爆テロのニュースを聞いていると、中東の方が治安は悪いと思うかもしれないが、実はアラブ圏の治安の良さは格別である。
クウェート、アラブ首長国連邦(UAE)などペルシャ湾岸地域では、昼は暑くて外を歩けないから日が暮れてから人々は外に繰り出すのだが、海岸線のコルニシュと呼ばれる遊歩道は結構な暗がりだというのに子供たちが平気で遊んでいる。
政治的不安やテロと市民治安は全く別であることを忘れてはいけない。米国や中南米、アフリカの大都市部の市民治安は論外にひどいのである。