「今さらながら」という言葉を使わざるを得ない現象が起きている。それはアジア再発見と呼べる企業行動である。
ビジネストレンドの流れは早い。中国市場を求めて日米企業が盛んに出ていった時代は1世紀も前のような印象ですらある。
中国から大挙して逃げ出し始めた企業
今の中国は労働賃金の上昇や労働契約法の施行、知的所有権問題などが浮上し、多くのメーカーは中国から他国へと脱出を図っている。不動産バブルの崩壊も始まっている。
だがそれで日米企業の中国依存が終わったわけではない。世界ビジネスの中国の位置づけが変化しただけで、低賃金労働力を基礎にした製造拠点から、サプライチェーンをベースにした消費市場へと変化を遂げている。
それは中国だけに限ったことではない。
韓国も同じ領域に突入している。ユニクロの柳井正会長兼社長は10日、韓国ソウルのグローバル・フラッグシップ・ストア(世界展開旗艦店)の開店に当たり、改めてアジア市場の潜在力の高さを強調。企業成長の主軸をアジアに据えると断言した。
「10年後には日本を含むアジアで(年間)3兆円以上の売り上げを確保したい。今後10年間で30億人以上の中産階級が生まれ、大きなビジネスチャンスがある」
ヨーロッパやアメリカの市場も大きいが、ユニクロは旗艦店を韓国に据え、中国やシンガポールなどアジア諸国での成長と企業成長を重ね合わせている。