2月10日、今年の診療報酬改定を巡る、最後の中医協総会が開かれました。支払い側と診療側が議論する最中に診療側の委員全員が退席し、会議が一時休会になるという事態が発生しました。
争点となったのは、「再診料を病院・診療所とも69点で統一」するという部分でした。これに診療側が強く抗議し、退席したのです。
結局、診療側は着席したのですが、「(この件については)コメントしない」とし、多数決での敗北を避けることで総会が成立しました。
その結果、再診料の69点での統一が決定しました。それまで診療所の再診料は71点(710円)でした。診療所はそれでも普通のやり方では採算が取れなかったのに、さらに690円へと引き下げられたのです。
この改定について、新聞各紙は「政権交代の成果」だと報道しました。診療側が反対した理由をきちんと理解した上で賞賛しているのであれば問題ありません。しかし、「診療報酬明細書の無料発行」(前回コラム 「誰が読む?気が遠くなるほど詳細な領収書」を参照ください)と同じく、とても現場の事情が理解されているとは思えないのです。
病院と診療所は同じ料金設定にすべき?
再診料を巡る議論は、「(病院と診療所で)同一の医療サービスを受けたら、同じ料金にするのが基本」という支払い側の主張の検討から始まりました。
でも、病院と診療所はそもそも機能、収益源が異なっています。病院は検査や入院、手術などが収益の柱ですが、診療所は外来診察料が主な収益源です。機能と収益源が異なる医療機関の値段を統一するのは、無理があるのです。タクシーの基本料金だって、普通車が710円、中型車が660円と車のサイズによって値段に違いがあります。それと同じことです。
そこで、診療側は「病院の再診料を引き上げて、診療所と合わせる」ことで、支払い側の主張に応えることにしました。しかし、2009年末の「事業仕分け」を経て、「診療所の開業医が実際の労働以上に厚遇されているから、診療所の再診料を下げる」ことが前提となり、議論は進んでいきます。