私が監査法人から独立してベストソリューションを創業した年の翌年(1995年)に、IBMが汎用UNIXサーバー「RS/6000」を本格販売した。同時にリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)として「DB2 Ver1.0」を販売開始した。

 ちょうど当時はコンピューターの「ダウンサイジング」が叫ばれていた頃である。

広いサーバールームに3基だけ置かれた黒いサーバー

 ダウンサイジングという言葉は、80年代にジャック・ウェルチがゼネラル・エレクトリック(GE)で断行した「人員削減」「事業規模の縮小」「組織規模の縮小」などを指して使ったビジネス用語である。

 IT業界では、汎用機(メーンフレーム)を使ったシステムから、中型・小型コンピューターを使ったオープン系のクライアントサーバーシステムに移行することをダウンサイジングと呼んだ。

 汎用機システムに比べると、クライアントサーバーシステムは開発期間も短く、安価で構築できた。その上、運用費用も安くつくということで、90年代はダウンサイジングが大きな流れとなった。

 なにしろ汎用機はあまりにも高価であった。大手町や丸の内にある著名な上場企業では、社長室の横などに「電算室」を設けて、汎用機を置いていた。来客があると社長が電算室を案内し、汎用機の大きさを自慢していたという話を聞いたことがある。

 90年代半ば頃、NTTでは積極的にダウンサイジングに取り組んでいた。当社とIBMとで、NTTの大規模なダウンサイジング案件に取り組んだのが96年である。

 千葉県の幕張にNTTビルのサーバールームがあった。NTTは汎用機を設置するためにビルのワンフロアーを確保していたので、とにかく広い。そのガランとした空間の中に黒いRS/6000が3基立った光景をよく覚えている。まさに目に見えるダウンサイジングである。システムが稼働した時は、システム構築・運用の新しい幕開けを感じた。