米アマゾン・ドットコムが電子書籍リーダー端末「キンドル(Kindle)」とネット小売りの分野でまた攻勢をかけている。
同社は11月2日、商品配送優遇プログラム「アマゾン・プライム」の米国加入者を対象に、キンドルを使った電子図書館サービスを開始したと発表した。約5000冊の電子書籍の中から好きなものをキンドルに無料でダウンロードできるというものだ。
一度に1冊、貸出期間に制限なし
これは「キンドル所有者向け貸出図書館(Kindle Owners' Lending Library)」と呼ぶサービスで、会員制DVDレンタルのような仕組みを採り入れている。
利用者が一度に借りられる電子書籍は1冊のみだが、貸出期間に制限はなく、読み終わらなければいつまでも借り続けられる。
新たな書籍を借りる際は、既に借りている書籍が返却(自動消去)される。また1カ月に借り換えられるのは1回のみという条件がある。
アマゾン・プライムとは、同社が米国で提供している商品配送優遇プログラムだ。注文日の翌々日までに品物が届く「急ぎ便」を無制限で利用でき、年会費は79ドル。
アマゾンはこのプログラムの会員に対し、追加料金なしで約1万3000本の映画/テレビ番組をストリーミング配信できるという特典も付けており、コンテンツ配信事業と、ネット小売りの相乗効果を狙っている。
新端末発売前に顧客囲い込み
今度はこれに電子書籍も加え、顧客を取り込むというわけだ。アマゾンのキンドルには専用の読書端末と、スマートフォンなどのモバイル端末やパソコンで利用できるアプリ版があるが、今回のサービスはアプリ版を対象にしていない。
これに先立ちアマゾンは、キンドル端末の最新モデルを発売しており、11月15日には、同社初のマルチタッチカラーディスプレイ搭載タブレット端末「キンドル・ファイア(Kindle Fire)」、同月21日にはタッチスクリーン搭載の電子ペーパー端末「Kindle Touch」を出荷する予定だ。