私はシステム業界の勉強会にいくつか参加している。その中で私がいちばん気楽に参加できるのが、ジャノメクレディア顧問の市川浩氏(元社長)が主催している「VMフォーラム」という勉強会である。
この会では、データセンターソリューション、デスクトップ仮想化、クラウドサービス、開発テストなどなど、様々なテーマについて幅広く勉強している。
なぜ気楽かと言うと、長年続いている勉強会であり、参加者たちがみんな気心の知れた仲間だというのが大きな理由である。私にとっては忌憚ない意見が言える数少ない場となっている。
システム業界のシニア層はなぜ元気なのか
参加者には、すでに会社を定年退職した人もいるし、初めて会った時とは違う会社で代表を務めている人もいる。
この勉強会でよく感じていたことだが、システム業界ではある年代から上の人たち(特に50代以上の「シニア」層)とその下の世代とでは、明らかに元気が違う。お察しの通り、シニア層の人たちの方が元気なのである。
どうしてシニア層は元気なのか。
彼らはCOBOLやPL1で、企業の基幹システムを試行錯誤しながら作りあげた経験がある。「冬に暖房が止められた時は、ホストの下の隙間に足を入れて仮眠した」など、昔の開発案件の苦労話、自慢話には事欠かない。
それに比べると、若いSEやプログラマーは、シニアの前で謙虚にしているせいなのかもしれないが、疲れていて元気がなさそうに見える。新しい開発言語やプロジェクト管理技法など、身につけなければならないスキルが多すぎるのかもしれない。
年齢が上がっていくと仕事が激減する
さて、先日、冒頭で触れた勉強会のメンバーの1人が、私の意見を聞きたいということで、訪ねて来た。表参道のビルの屋上テラスで秋風を感じながら、ランチをしながら話を聞いた。
彼は「『シニア人財センター』を作り、シニア技術者(特にメーンフレーム技術者)の人材派遣事業をしたい」という。それについて意見を聞かせてほしいというのである。
この人は、システム業界ではよく知られている「フリー技術者の共同組合」の先駆けを作った1人である。今でもこの組合の監査役として頑張っている、まさに元気なシニア層だ。
技術者は組合に個人事業主として登録し、仕事を紹介してもらう。組合への登録者はどんどん増え、今では2000名の技術者を派遣しているという。しかし、「28~42歳の若手技術者の稼働率は98%だが、43歳~50歳までだと38%に減ってしまう。それ以上の50歳以上だと3.8%に激減する」という。その数字を聞いて驚いた。やはり、シニア層の雇用環境は厳しいのか。