スペインのバルセロナで開幕した通信業界のイベントで、米マイクロソフトが新しいスマートフォン向け基本ソフト(OS)「Windows Phone 7(ウィンドウズ・フォーン7)」を発表して話題を呼んでいる。
消費者市場で人気の高い米アップルの「iPhone(アイフォーン)」や、北米を中心にビジネス市場で人気のカナダRIM(リサーチ・イン・モーション)の製品に押され、マイクロソフトはシェアを大きく減らしている。
新OSの投入でシェア奪回を目指したいところだが、搭載端末が発売されるのは今年の年末商戦時期。開発の遅れがライバルのシェア拡大につながっていると指摘されている。市場調査会社の英カナリスによると、米グーグルのOSが前年比10倍の勢いでマイクロソフトを猛追するなど、モバイル市場の競争は激化している。
2つの製品で成り立つ巨大企業
こうした状況を考えながら先ごろ米国のビジネス情報サイト Silicon Alley Insider (シリコン・アレー・インサイダー)に掲載されたマイクロソフトの収益推移グラフを見てみると興味深い。
これは、2009年12月期までの3年半に及ぶ同社の事業部門別営業損益をグラフ化したものだ。これを見ると、世界最大のソフトウエア企業は「ウィンドウズ」と「オフィス」で支えられているのが分かる。これに次いで好調なのはサーバー&ツール事業だが、規模はその3分の1程度だ。
かつて米ヤフーの買収を試みるなど、テコ入れを図ったオンラインサービス事業は常に赤字で、赤字額は増加傾向にある。