中国全土が春節(旧正月)の休暇期間に入る直前の12日、中国人民銀行は預金準備率(現行水準:大手銀行16%・中小銀行14%)を0.5%引き上げることを発表した。適用開始は25日。筆者を含め、市場はこのタイミングでの動きを全く予想していなかった。前回の預金準備率引き上げ発表は1月12日(適用開始は18日)だったので、それから1カ月で追加措置を講じてきたことになる。不動産価格などのバブル膨張抑制およびインフレ予防が、今回の措置の狙いと考えられる。
準備率引き上げ発表の前日11日には、中国のいくつかの経済統計が発表されていた。
1月のマネーサプライ(M2)は前年同月比+26.0%で、2カ月連続でプラス幅を縮小したものの、なおかなり高い数字。1月の人民元建て新規融資は1兆3900億元で、当局の年間目標(7兆5000億元)に照らし合わせると、かなりのハイペースである。
1月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比+1.5%で、前月の同+1.9%から鈍化した。ただし、除く食品ベースで見ると、1月は前年同月比+0.5%で、前月の同+0.2%から加速した。また、昨年は商品やサービスの価格が値上がりしやすい春節が1月にあったので、今年のCPIの前年同月比は1月が低めに、2月が高めに出る公算が大きいことを認識しておく必要がある(2月11日時事)。この間、1月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比+4.3%で、前月の同+1.7%から急加速となった。
なお、グラフから分かるように、中国ではセオリー通り、マネーサプライがCPIに先行して動くという関係が見出される。