注目された第178回臨時国会が閉幕した。「東日本大震災からの復興・復旧と原発事故の終息」「日本経済の立て直し」は言うまでもなく現在の我が国の最重要課題であり今次国会においても総理大臣は「現在の内閣はこの最重要課題を処理するのが最大の使命」と述べた。
その通りだが、外交・安全保障に関する国家意思の明確化や関連法令の整備は最重要課題ではないのか?
周知の通り我が国の安全保障環境及び国際社会においてしかるべき存在感を維持していくための環境は極めて厳しくなっている。
日本の大震災を自国のために利用する周辺各国
中国は、周知の通り1992年に領海法、97年に国防法を制定して東シナ海や南シナ海の支配の意図を明確にし、海軍を中心に軍事力の増強とその運用力の強化に邁進してきた。
最近は我が国が東日本大震災という国難への対応に追われている間に、周辺海域での海軍のデモンストレーションや我が経済水域での我が国が認めた以外の行動を繰り返し、尖閣諸島の領有権はおろか東シナ海の油田開発などについても我が国の主張など取りあおうともしない。
ロシアや韓国の竹島・北方4島に対する実効支配強化の動きも極めて露骨である。
一方、米国は今世紀を迎えて世界規模の米軍再編に着手し、我が国はこの動きに応じて普天間問題の解決やその他沖縄県民の負担軽減を企図し地道な努力を重ねてきたが、現政権はこの努力を一顧だにしていない。
日米同盟の深化などと言いながら、普天間問題を解決が極めて困難な状態に陥れて米国の不信感を増幅し、同盟関係に大きなひびを入れてしまった。
国内問題は相手が日本国民であるが、外交・安全保障問題の相手は自国の国益を最優先するしたたかな諸外国である。
特に我が国の周辺には、東日本大震災への対応に追われる我が国の弱みに付けこみ国際法や歴史的事実を無視して我が領域や海洋権益を侵そうとする、あるいは我が領土の実効支配を強化している国々がある。
これらの国への対応をこれ以上曖昧なままで先送りすることはすべきでない。