昨年朝鮮戦争勃発60周年を迎えた韓国は軍創建60年を経てハイテク装備を国産できるまでに防衛産業を成長させた。今日、韓国防衛産業は単に防衛力強化への寄与にとどまらず、韓国経済の国際競争力強化や韓国産業の技術革新にも役立つ重要な分野であると位置づけられるまでに至った。

国産次世代戦車「XK2」、実戦配備は2011年 - 韓国

韓国の国産戦車「K2(黒豹)」〔AFPBB News

 国産戦車「K2(黒豹)」は2011年には実用配備される。主砲120ミリ滑空砲を装備するこのハイテク新戦車は既にトルコと技術移転で契約が結ばれている。

 そのほかにも「KT-50」超音速高等練習機、巡航ミサイル、イージス艦、歩兵戦闘車を自らの手で造っている。韓国製攻撃用ヘリの開発では米国製の「アパッチ(AH-64D)」としのぎを削っている。

 韓国軍は「国防改革2020」構想を示し、軍の近代化を目指す一方、「戦時作戦統制権」を2015年に国連軍(在韓米軍主体)から韓国軍に移譲することを米韓間で決めていることもあり、返還時における韓国軍の戦力発揮機能に空白を生じないことを当面の戦力整備の大きな目標としている。

 韓国軍の中期戦力増強計画によれば、将来装備の研究開発方向を、「監視偵察体系」「指揮統制通信体系」「打撃体系」の3分野に区分し、重点的に整備するよう強調している。国防中期計画では、ネットワーク中心戦にも大きな力を注いでいる。

 統合で既に進められている指揮統制通信体系には、合同指揮統制体系(KJCSS)、軍事情報統合処理体系(MIMS)、戦術情報通信体系(TICN)、合同戦術データリンク体系(JTDLS)などがある。

 衛星を活用した通信網は既に実用段階にある。軍民共用通信衛星アリラン2号は実用化され、第一線における戦闘指揮にも使われているという。

 今後、さらに独自の軍事通信衛星や情報衛星も計画されている。そのほか、サイバー攻撃に備え2010年1月には「サイバー防衛司令部」を創設している(韓国はこれまで数度にわたり北朝鮮からと思われるサイバー攻撃で被害を受けている)。

韓国の研究体制と武器輸出

 韓国国防費は経済成長に裏づけされ、安定的に増額されている(過去十数年で約6~8%の平均伸び率)。国防研究開発費も逐年増額している。

 主要装備の開発は国防部主導により進められている。次世代装備の開発は国防科学研究所(ADD)が総合的に行い、防衛産業の育成は韓国防衛事業庁が担当している。

 国防科学研究所は陸海空及び関連装備の研究開発を組織的かつ一元的に行っている。その研究開発費は年間で1兆6000億ウォン(約1300億円:2009年、韓国国防白書より)に達する。これは韓国国防費の概ね5~6%ほどになる。