2010年1月13日、東京地検特捜部は民主党幹事長・小沢一郎の資金管理団体「陸山会」の土地購入問題をめぐり、小沢の個人事務所などを捜索、強制捜査に踏み切った。小沢は「またお騒がせして不徳の致すところ」と支持者にお詫びしつつも、「法に触れることをしたつもりはない」と言明。「東京地検VS小沢」の全面戦争に突入した。政界最高実力者の小沢にまで捜査の手は及ぶのか。民主党内に動揺が広がる一方で、自民党は疑惑解明に向け反転攻勢を掛ける。18日召集の通常国会を前に永田町には緊迫感が高まってきた。(敬称略)

小沢氏、東京地検特捜部と「全面戦争」

 1月12日、民主党本部で定例の記者会見に臨んだ小沢は時折、笑みを浮かべた。東京地検特捜部が小沢に任意の事情聴取を求めて以来、本人の会見は初めてだった。

 ある記者が「東京地検の事情聴取を受けるのか。土地購入資金4億円の原資は」と質問すると、小沢は「いっぺんに答えるから」と言って関連質問を一括して出すよう求めた。

 記者団からは次のような質問が続々と飛んできた。

 (1)「(陸山会の事務担当者だった)石川知裕衆院議員が小沢幹事長から現金で4億円受け取ったと供述しているが、事実か」(2)「土地代金を先に払って、後で(4億円の小沢一郎名義の)定期預金を組んでいる。(これを担保に同額の融資を受け、陸山会に貸すという)複雑な会計処理をしたのはなぜか」(3)「情報がメディアを通じて一方的に伝えられている。検察とメディアの在り方をどう考えるか」(4)「参院選への影響は」(5)「世論調査では説明責任を果たしていないとの声が多いが」(6)「小沢さんの奥さんが提供したとの報道もあるが」

聞くだけ聞いて「ゼロ回答」、説明責任果たさぬ小沢

 これに対し、小沢は質問に一つひとつ答えることはせず、一括して次のように答えた。

 「国民の皆様に誤解を与え、大変ご心配ご迷惑をおかけしていることを大変申し訳なく思っています」「捜査が継続中で弁護士にすべて一任しているので、この段階で個別のことについて私が色々申し上げるのは差し控えるべきであろう」

 質問を聞くだけ聞いて、結局はゼロ回答。「捜査中」を理由に最初から説明責任を果たすつもりはなかったのだから、質問した記者は馬鹿にされたようなものである。

 結局、小沢は「私自身も、私の事務所の者たちも、計算上のミスはあったかもしれないが、意図的に法律に反するような行為はしていないと信じています」と潔白を繰り返し主張しただけだ。