元内閣総理大臣の安倍晋三氏を電話ゲストに迎えた今回の『中山泰秀のやすトラダムス』 (Kiss FM KOBE で毎週日曜24:00-25:00放送)。日本の国益を守るという視点から、民主党政権の危うさを語ったトーク内容をお伝えする。

「戦後レジーム」から脱却してこそ、日本は変わることができる

中山 総理時代、安倍さんは「美しい日本」と並んで「戦後レジームからの脱却」を提唱されていました。いま一度この「戦後レジームからの脱却」の意味を教えてください。

「中国はレーベンストラウムを追求」、安倍元首相が米国で講演

安倍晋三元首相(写真は2007年当時)〔AFPBB News

安倍 占領下の日本において、GHQ主導のもと国の骨格である日本国憲法と教育基本法が作成されました。私たち国民は、それを60年以上にわたり基本法として仰ぎ見てきたのです。また、ひたすら豊かさを追求する経済至上主義に走り、戦後の教育とあいまって損得勘定が価値基準の中核になってしまった。

 日本は自分たちの国なのですから、本来、憲法や教育の基本となる法律は私たち自身が作るべきです。そして、自らを育んだ国や地域を命懸けで守ることにこそ、損得を超えた真の価値があります。

 国民一人ひとりがそう正しく認識し、戦後レジーム、すなわち戦後の体制から脱却することで、日本は大きく変わると確信しています。

中山 安倍内閣は(1)教育基本法の改正、(2)防衛庁の「省」への昇格、(3)憲法改正のための国民投票法の成立、という3つの大きな功績を残しました。これに対しメディアからは多くのバッシングがありましたね。

安倍 戦後レジームからの脱却に一番抵抗するのはマスコミなんですね。リベラルなマスコミというのは、戦後体制の中で既得権的に地位や権威を獲得している。それを足元から壊されることに恐怖を感じたのでしょう、異常なほどのバッシングを仕掛けてきました。

 自民党が立党されたときの大きな目標のひとつは憲法改正でしたが、結局50年間、憲法改正にも教育基本法の改正にも手をつけられなかった。それに、日本の防衛を司る役所が「庁」のままで、つまり法律を出せない立場にあるのは絶対におかしい。国民の安全保障は、国が最優先で取り組むべき課題です。

 1年間という短い在任期間でしたが、自民党が50年を経ても手をつけられなかったこの3つの問題に取り組んだことを誇りに思っています。

中山 なぜ戦勝国からあてがわれた憲法を、日本が使わなければならないのか。それは国民の多くが抱いている疑問でもあります。

安倍 ある種のマインドコントロールと言えるでしょう。日本は集団的自衛権を持つと、手に負えない行動を取ると勝手に決めつけられています。日米安保条約のもと、米軍が日本に駐留して日本の軍事的脅威を封じ込める「瓶の蓋論」というものがありますが、失礼極まりない話です。