2009年の世相を漢字1文字で表す恒例の「今年の漢字」が、16万通を超える応募の中から「新」に決まった。主催者の日本漢字能力検定協会によれば、鳩山新内閣誕生や新型インフルエンザ流行、裁判員制度の導入、イチロー選手の9年連続200本安打の新記録達成、米国のオバマ新大統領の就任などが理由に挙げられたという。
次点以下を10位まで見ると、「薬」「政」「病」「改」「変」「民」「鳩」「代」「交」の順。政権交代に絡んだ文字が目立つのは、政治に対する人々の関心の高さと期待の大きさの表れとも言えるだろう。
だが、発足から間もなく100日を迎える鳩山内閣の迷走の陰で、日本経済は回復の糸口を見いだすどころか、深みにはまって身動きさえ取れないまま2009年を終えようとしている。
筆者が「今年の漢字」を選ぶとしたら、「落」「減」「縮」あたりだろうか。景気の先行きが一向に晴れない中で物価は下落し、政府は再びデフレ宣言に追い込まれた。企業は設備投資を大幅に圧縮し、冬のボーナスも学生の就職内定率も過去最大の落ち込みを記録。税収の減少に歯止めは掛からず、国の借金ばかりが増え続けている。
年間40兆円になんなんとする需要不足。内閣府の試算では、日本の潜在成長率はこの1年間、1%を割り込んで推移した。
低迷する成長力をどんな政策や制度、税制で補い、民間の活力を引き出していくか。その道筋を示すことこそ、政治に求められている役割のはずだ。自民党の麻生前政権が決めた補正予算の削減に汲々とし、事業仕分けでテレビのワイドショーをにぎわすことではない。
凋落した東京市場、魅力感じる投資家は「1%」
日本の停滞を象徴するのが、東京の凋落ぶりである。2016年夏季五輪招致にしくじったのはご愛嬌だとしても、海外主要メーカーに出展を見送られた東京モーターショーの惨状をはじめ、今年は市場としての東京の地位低下を改めて見せつけられた1年だった。
特に東京株式市場は、海外の主要市場がリーマン・ショックの痛手から立ち直った中、足取りの重さが際立っている。