日本の物価情勢について、政府が約3年ぶりに、日本経済は「デフレ」である、と公式宣言する可能性が高まっている。

 菅直人副総理・国家戦略・経済財政相は16日午前、7-9月期の四半期別GDP速報(QE)発表後の記者会見で、「デフレ的状況に入りつつあるのではないかとの懸念を持っている」と発言した。同日の日経新聞夕刊は、政府が早ければ20日発表予定の次回月例経済報告で「デフレ」を宣言する方向で最終調整に入った、と報じた。消費者物価指数の生鮮食品を除く総合(CPIコア)の前年同月比は、9月分まで7カ月連続の下落にとどまっており、2年以上連続した物価下落にはなっていないが、7-9月期の国内需要デフレーターが前年同期比▲2.6%という大幅なマイナスになったことが重視されている模様。古川元久内閣府副大臣は16日夜の記者会見で、名目成長率の弱さに関し、「こうした状況についてはデフレ的な状況に陥っているのではないかとの認識を持っている」「政府としての判断は、他の指標も精査した上で、11月の月例経済報告で示したい」と述べた。

 政府が前回「デフレ」認定をしていた時期は、2001年3月~2006年8月である。

 2001年3月の月例経済報告(2001年3月16日)は、「今月のトピック」欄で「緩やかなデフレ」を取り上げた。そこでは、以下の3点が指摘された。

(1)我が国において、消費者物価、国内卸売物価は、ともに弱含んでいる。

(2)デフレについては、これまで日本では、論者によって様々な定義が用いられてきたが、「持続的な物価下落」をデフレと定義すると、現在、日本経済は緩やかなデフレにある。

(3)経済協力開発機構(OECD)の主要先進国の中で、物価下落が続いているのは我が国だけである。日銀の金融政策については、「政策の基本的態度」の部分で、次のような記述がなされた。
「なお、日本銀行においては、無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標を0.25%から0.15%に引き下げるとともに、公定歩合を年0.35%から年0.25%に引き下げた」

 次の2001年4月の月例経済報告(2001年4月13日)は、物価に関する部分で、「こうした動向を総合してみると、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレにある」と記した。