今年9月、そして10月と当コラムで、日本企業の地盤沈下が進行し、海外機関投資家の間でジャパン・パッシング現象が顕在化していることに触れた。

 今回は、取材で旅回りが多い筆者が身近に感じた事象を紹介しつつ、世界市場を席巻してきたクルマや電器製品など、日本のお家芸とも言える製品群の先行きを大胆に占ってみたい。デフレ経済が進行する中、日本製品に生き残りの道はあるのか。

ジワリ浸透、新興国の割安製品

 まず、本稿のキモとなるキーワードをご紹介したい。1つ目のキーワードは、「ビジネスホテル」。そして2つ目は「レンタカー・タクシー」である。

 筆者は現在、東北を舞台にしたミステリーのシリーズを執筆中だ。このため、2~3カ月に1度の割合で東北全域を飛び回っている。その際、頻繁に利用するのがビジネスホテルだ。

 最近は主要ターミナル駅、あるいは高速道路のインターチェンジ付近に全国チェーンのホテルが多数進出し、1泊5000円前後で利用できる。取材経費を切り詰めている零細文筆業にはありがたいことこの上ない。

 宿泊した際に筆者が常々観察するのが、狭いシングルルームの備品の数々なのだ。全国チェーンのホテルの大半では、小型液晶テレビ、あるいは小型冷蔵庫が常備されているが、そのほとんどは韓国、中国製なのだ。

 例えば、テレビは韓国LG製、冷蔵庫は中国ハイアール製といった具合の組み合わせが大半だ。ホテルのスタッフたちにそれとなく尋ねたところ、「本部が一括して仕入れ、全国の拠点に配備している」との答えが返ってきた。

 滞在中の筆者の場合、地元ローカル局のニュースがチェックできれば画像の良し悪しは二の次。また、ディスカウント店で仕入れたビールを放り込むだけなので、冷やしてくれさえすれば事足りる。