11月19日午前0時。今年もボジョレーヌーボーの解禁日がやってくる。9月頃から酒販店やスーパー、コンビニなどの店頭にボジョレーヌーボーのポスターが張り出され、予約の受け付けが始まっているが、その市場に衝撃が走るニュースが流れた。

 ボジョレーヌーボーに日本中が大フィーバーになったのは今から10年以上前の1990年代のこと。世界で最も早い解禁を祝おうと、深夜のフレンチレストランに大勢が押し寄せ、歓声を上げたのも今となっては懐かしい。

 その後、ボジョレーヌーボーの輸入は増え続けたが、2004年にピークに、市場は低迷し始めた。なんとかかつての勢いを取り戻そうと、流通各社はさまざまな試みに取り組んでいる。

 市場低迷の原因は割高感にあると考えたのはスーパー各社。これまで解禁日には2000~3000円で販売されることが多かった。

 そこで昨年、イオンは1280円のボジョレーを発売し、話題となったが、今年はなんと980円で販売すると発表したのだ。

解禁日からいきなり低価格の秘密

 ボジョレーヌーボーは、解禁日に間に合わせるように航空便で輸入されるものは、その輸送コストなどから前述のように2000~3000円ぐらいで売らざるを得ない。

 ところが1週間後になると、サル(SAL)便といわれる船便や陸送などの経済的な輸送ルートを活用した割安なものが流通する。これだと輸送コストは1本当たり約500円ほど安くなるので、1500~2000円で売られるようになる。

 そして解禁日から1カ月ほど遅れると、今度は船便で運ばれたものが、1本1000円前後で売り出される。初がつおじゃないが、解禁日から日数がたつにつれて、どんどん価格が低下していくのがボジョレーヌーボーの特徴なのだ。

 ところがイオンは解禁日に980円という低価格で売り出すというのだから驚く。

 そして、その低価格を実現するためのアイデアの1つが、ペットボトル。ビンではなくペットボトルに入れたものを発売するという。

 ペットボトルにすると容器代がコストダウンできるばかりではなく、軽量化によって物流コストも削減できる。さらに現在は円高という為替効果もあるため、大幅な低価格が実現できたというわけだ。

 イオンは「低価格で提供できれば需要は見込める」と考えており、今年はこのペットボトル入りを中心に販売し、前年より1割増の約50万本を見込んでいるという。