うつ病が増えている。特に、入院を必要としない軽症のうつ病は、ここ数年で激増している。他人事とは言えない状況の中で、うつ病を正しく認識することは、これからの時代を生きていく中でとても重要なことだ。

 そこで今回は、今年9月に『マンガでわかる軽いうつ あなた疲れていませんか?』(保健同人社)を出版した平木クリニック院長の平木英人先生に取材した。日本の心療内科の分野では、最も早くから臨床に携わってきた医師だ。3回にわたって、詳しく聞くことにする。

増え続ける軽いうつ病

平木英人(ひらき・ひでと )1935年、福岡県生まれ。久留米大学医学部卒業。心療内科の分野では最も早くから臨床に携わり、30年以上の豊富な経験を持つ。著書に『パニック障害 薬で治せる脳の病気』(保健同人社)、『パニック障害は必ず治せる』(マキノ出版)、『マンガでわかる軽いうつ あなた疲れていませんか?』(保健同人社)など多数

――うつ病で悩んでいる人が増えていることは、先生も実感されていますか?

平木 間違いなく増えています。それは統計上にも表れています。厚生労働省の調べによると、1999(平成11)年が3万8600人、2002(平成14)年が6万4900人、2005(平成17)年が7万7000人と急激に増加しています。ただし、これは通院で治療できる軽症のうつ病で、入院を必要とする重症のうつ病は、それほど増えてはおりません。

――軽症のうつ病と重症のうつ病の違いは何でしょうか?

平木 一番のポイントは自殺の恐れがあるかどうかです。そのほか、薬や刃物で自分を傷つけたり、食事や睡眠を取らずに衰弱している人は、入院した方がいいです。

――自殺は、病状が進んだ時に起きると考えていいのでしょうか?

平木 それは大きな間違いです。病気が重くなって自殺すると考える人が多いのですが、ものすごく重くなってしまった場合は、死ぬ元気すらなくなってしまいます。死ぬにもエネルギーが要るからです。最も自殺の危険性が高くなるのは、うつが重くなりかけの時と、回復期です。グラフにすると、U字型になり、その入り口と出口部分のリスクが最も高いのです。

好きなことが億劫になったら危険

――軽いうつ病の人の中には、自分では自覚がない場合も多いのでしょうか?

平木 多いです。ただ疲れているだけだろう、体調が良くないだけだろうと考えがちで、周囲の人も気づかないことが多いです。特に、中高年のうつではそういうケースが多いです。