今週は久しぶりで中国に関する小気味良い英文エッセイを見つけた。媒体は8月28日付ニューズウィーク(Newsweek Magazine)、筆者は以前ご紹介したあの艾未未(アイウェイウェイ)だった。今回は、なぜか外国メディアだけが報道し、日本では詳しく報じられないこの中国著名芸術家の「生き様」の続編を書くことにしたい。

保釈の条件

保釈中の艾未未氏が米誌に寄稿、「北京は悪夢」

米誌ニューズウィークに寄稿した艾未未。写真は保釈され自宅前でインタビューを受けているところ(6月23日)〔AFPBB News

 艾未未は今年4月3日に北京空港で当局に身柄を拘束されたが、国際的非難が高まったこともあってか、6月22日には保釈された。

 新華社通信は保釈が認められた理由として、艾未未が脱税の容疑を認めたこと、慢性疾患を抱えていたこと、税金を納付する意思を示したことなどを挙げていた。

 外国メディア報道によれば、同氏は今後1年間、電話、ツイッター、海外旅行が禁じられ、北京市内の移動についても当局に報告する必要があるという。

 他方、保釈直後に艾未未と直接話した彼の友人は「政府の公式の命令は旅行の制限だけだ」とも述べている。もちろん、真相は不明だ。

 艾未未については様々な神話が囁かれている。例えば、他の人権活動家に比べて厳しい取り調べや逮捕を免れているのは同氏の両親が有名な共産党員の詩人であるためだとか、今回早い段階で保釈されたのは艾未未が中国当局と「秘密の取引」を交わしたからだ、などというものだ。

 今回のニューズウィークへの寄稿には伏線があった。8月9日、艾未未はツイッターで関連会社の社員や友人が無実の罪で大きな精神的肉体的苦痛を受けたなどと「つぶやいた」と報じられたからだ。そして、その約3週間後、以下のような大胆な発言が米週刊誌に掲載されるに至る。

詩的暴力

 艾未未のエッセイはすべて英文であり、中国語版はない。また、ニューズウィークは基本的に米国本土の読者が対象だ。それでも、中国当局が同サイトをブロックしていることは容易に想像できるし、艾未未もニューズウィークも当然そのことは予想していただろう。

 北京(中国共産党)に関する彼の興味深い発言をいくつかご紹介する。