来週末、9月9日から、ニュージーランドでラグビーのワールドカップが始まる。日本代表チームには、初優勝を成し遂げた女子サッカーに続き、躍進への期待が高まるが、そのメンバー表を見ていて目につくのがカタカナの名前。
アイルランド統一が実現したラグビーの世界
ラグビーは、他の競技に比べ国籍に関する代表制限規定が極めて緩く、今では禁止となっているが、途中で他国代表に移ってしまった選手さえいた。
外国人選手は、日本のプロ野球で日本人扱いとなるより、ラグビーで国の代表になる方がずっと簡単なのだ。
チームが代表する「国」の定義にも同様のフレキシビリティーがある。
ラグビー発祥の地英国は、イングランド、スコットランド、ウェールズ、そしてアイルランドに代表チームが分かれているから、日頃の民族的ヒエラルキーの恨み(?)を晴らすチャンスかもしれない。
ここで、ちょっと注意してほしいのが、アイルランド代表チーム。「北アイルランド」の間違いではない。英国領である北アイルランドと独立国家アイルランド共和国が1つとなりアイルランド代表チームを形成、アイルランド人永年の夢、アイルランド島統一がラグビーでは現実のものとなるのだ。
アパルトヘイト後、台湾から中国へ乗り換えた南アフリカ
「政治とスポーツは別」と非現実的原則論をまくしたてる者にはウンザリさせられるが、それが実際に果たされているのだから驚きである。
その一方で政治がもろに影響してしまっていたのが、現在世界ランキング3位の強豪南アフリカ共和国代表「スプリングボクス」。世界中から非難を浴び続けていた人種隔離政策アパルトヘイトに対する制裁を受け、かつて国際舞台から閉め出されていたのである。
その頃、国際社会から孤立する者同士ということで正式な国交があったのが台湾。そんなこともあって、台湾人はアパルトヘイト下の南ア社会では白人なみの扱いで、政治的に「人種は白人」だった。
しかし、アパルトヘイトが終わり、孤立から解放された南ア政府が取った手は、台湾から中国への乗り換えという何ともつれないものだった。