新米の時期。白いごはんがおいしい。湯気のたった炊き立てのごはんを前にする時、日本人に生まれてよかったと実感する。

 おいしいごはんには、これまたおいしい「ごはんの友」が欲しい。いわゆる「メインのおかず」ではなく、ごはんをおいしく食べるためのちょっとした常備菜。ご飯党の私には、これが欠かせない。

奥ゆかしく、上品にご飯の味を引き立てる

 先日、京都の方から、「ごはんのあてにいいですよ」と、あるちりめんじゃこを教えていただいた。

 「ごはんのあて」とは、関東ではあまり使われる言い方ではないが、実は「あて」というのは漢字で書けば「肴」である。酒を飲む際に添えて、共に楽しむものを差すらしい。お酒と同じくご飯も大好きな私にとっては、まさに「あて」という言葉がぴったりくる。

3種類の味がセットになった「魚三楼」のちりめんじゃこ

 教えていただいたちりめんじゃこは、「魚三楼(うおさぶろう)」(京都府・京町)という料亭が販売しているもの。「ちりめん山椒」「湯葉ちりめん」「野蕗(のぶき)ちりめん」の3種類がセットになって売られている。

 さっそく取り寄せ、何はともあれ、炊き立てごはんとともに「ちりめん山椒」を口に入れてみた。まず、ホッとするような柔らかな味に驚きを感じる。

 じゃこにはもちろんしっかり味が染みているし、山椒の香りもいい。でも、それぞれが自分を出しすぎることをせず、あっさりと上品な味に仕上がっている。

 湯葉の食感が楽しめる、京都ならではの「湯葉ちりめん」。少しほろ苦い野蕗(のぶき)が山椒と相まって絶妙な香りを醸し出す「野蕗ちりめん」。

 どれもが個性豊かでありながら、ごはんと一緒になると決して主張しすぎず、ごはんのおいしさを引き立ててくれるのだ。