フェイスブックが一大ブームだ。書店に行けば、フェイスブックのマニュアル本やマーケティング活用本が、ところ狭しと並んでおり、雑誌の記事でもフェイスブック特集が組まれている。フェイスブックは今最も旬のサービスと言えるだろう。

フェイスブックの企業利用には落とし穴がいっぱい

フェイスブック、2012年に新規株式公開か 米CNBC

フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)〔AFPBB News

 そして最近、「フェイスブックをマーケティングで使う」という話題もよく耳にするようになった。フェイスブックの隆盛を見て、多くの企業が積極的に自社のPRに活用しようと考えるのは自然の成り行きかもしれない。

 しかし、これには意外な落とし穴がいくつか潜んでいる。

 まず、フェイスブックは個人と個人がつながるメディアであり、特定の知人とのメーリングリストのような使い方に向いている。いわば、個人による個人のためのメディアだ。

 その中に企業が入っていくということは、例えて言えば、みんなでわいわい騒いでいる同窓会場に突然、企業が踏み込んできて、司会からマイクを取り上げて自社の宣伝をするようなものだ。よほどうまくやらないと、逆効果になりかねない。

 2つ目は、米国のスタイルがそのまま日本でも通用するのかという点だ。

米国で流行したから日本でも・・・?

 フェイスブックが日本でもブレークする1つの根拠は、「ITの先進国である米国」においてデファクトスタンダードのサービスになっているからだろう。

 インテルしかり、マイクロソフトしかり、シスコシステムズしかり・・・。「米国発世界デファクトスタンダードのサービスが日本を席巻する。従ってフェイスブックは、日本でも勝利する」というロジックであり、日米のビジネスモデルの時間差を利用し、いち早くアメリカのモデルを輸入したものが勝利する、いわゆる「タイムマシン経営」の拠り所である。

 しかし、このロジックが通用するのはシステム優位の時代の話である。人と人とのコミュニケーションを内容とし、文化的コンテクストに依存するソーシャルメディアの時代には、かつての方程式が通用するとは限らない。

 このことは、日本で成功しているサービスがどんなものかを考えてみると分かりやすい。例えば、ツイッターのアクティブユーザー数は、米国よりも日本が多いという。ツイッターが最も成功している国は日本だそうである。