7月23日、中国温州で発生した高速鉄道の脱線転覆事故は、鳴り物入りで開業したハイテク鉄道での惨事という衝撃に加え、事故車両を即刻埋めてしまうという信じがたい事後処理に対し、海外メディアのみならず中国国内からも批判の声が上がっている。異例のスピードで増殖し続ける高速鉄道への信頼感は、もはや風前の灯火となっている。

改めて安全性が再確認された日本の新幹線

中国のがっちりとした鉄道車両

 200キロ以上という高速走行でありながら、15秒刻みのダイヤで正確に運行され続け、これまで死亡事故ゼロという日本の新幹線が歩み出してから、すでに半世紀近く経つ。

 見知らぬ地に繰り出していても、新幹線ホームまでたどり着けばもう帰ったも同然、といった感じで、今や特別意識することもない日本人の日常生活の足となっている。

 そうした状況が長い日本人にはいま一つピンとこないかもしれないが、実は欧米先進国でも高速鉄道の事故は結構起きている。

 1998年には鉄道先進国ドイツの誇るICEも、金属疲労から101人もの犠牲者を出す惨事を引き起こしているのだ。

 もちろん日本国内でも、在来線では脱線・衝突事故による犠牲者はそれなりに出ているのだが、だからといって、事故に巻き込まれることを恐れ鉄道に乗ることをやめた、という話は聞いたことがない。そのあたりが航空機と決定的に違うところだ。

飛行機は危ないというイメージが付きまとう

 名優ダスティン・ホフマンがサヴァン症候群の主人公を演じアカデミー主演男優賞を獲得した『レインマン』(1988)には、弟役のトム・クルーズとの間でこんなやりとりがある。

 「飛行機は危ない(から乗りたくない)」

 「馬鹿言うな。飛行機は一番安全な乗り物だ。確かに墜落事故が起きたことはあるが、だからといって危険とは言い切れないだろう」

 「でも、カンタス航空は一度も墜落したことがない」