秋に流行第2波がやってくることは予想できた事態なのに・・・・・・。
8月中旬以降、国内で新型インフルエンザの本格的な感染拡大が始まると、忽然と「ワクチンが足りない」「接種の優先順位を決定する」といった話題が連日、新聞・テレビを賑わすようになった。
なぜ、ワクチンは足りないのか?
儲からないワクチンに大手メーカーは二の足
デンカ生研(東京)、財団法人阪大微生物病研究会(大阪府吹田市)、財団法人化学及血清療法研究所(熊本市)、学校法人北里研究所(東京)――。日本国内でインフルエンザワクチンを製造しているのは、この1社・3団体だけなのだ。いずれも事業規模が小さく、4社・団体を合わせても年度内に製造できるのは1800万人分に限られる。しかも、新型ではない通常の季節性インフルエンザ向けのワクチンも、これら4社・団体が作っている。
新型インフルエンザの患者が初めて国内で見つかった春先の段階では、感染の拡大の規模は予想もつかない状態だった。「限られた生産能力の大半を新型向けワクチンのために使ってしまうと、逆に季節性インフルエンザの大流行を招いてしまうのではないか」「かといって、新型向けを作るのが遅れれば致命的なパンデミック(爆発的流行)を引き起こすかもしれない」とのジレンマに陥っているうちに、流行が始まってしまった――といったところだろうか。