日銀が8日に発表した8月の貸出・資金吸収動向等速報で、銀行計(旧5業態=都銀・旧長信銀・信託・地銀・第二地銀)の総貸出平残は402兆1489億円となり、5カ月連続で水準を切り下げた。前年同月比は+1.9%で、前月の+2.2%から0.3%ポイント鈍化。一方、3業態(都銀・地銀・第二地銀)の実質預金+CDは529兆9283億円。前年同月比は+3.3%で、前月の +3.2%から0.1%ポイント加速した。なお、実質預金とは、「表面預金から未決済の手形・小切手を引いたもの」のことである。

 業態についてのカバレッジは異なるが、上記の総貸出平残と実質預金+CDの金額をそのまま比較してみると、景気後退と金融システム不安が連鎖し、不良債権処理が本格化した1998年から2005年まで、総貸出平残は減少トレンドで推移した。この間、実質預金+CDは安定的に伸び続けており、2000年に両者がクロス。2001年以降は実質預金+CDが総貸出平残を一貫して上回り続けている。すなわち、銀行部門では預金超過による「カネあまり」が恒常化しているわけである。

 今回8月分では、実質預金+CDから総貸出平残を差し引いた金額(おおまかな預貸ギャップ)は+127兆7794億円。前月よりも微減となったが、引き続き過去最高水準にある。

 預金の順調な積み上がりは、同時に発表されたマネーストックの8月速報でも確認することができる。主力である準通貨(定期預金など)は前年同月比+3.1%に伸び率を加速した。