日本のマスコミは日本がダメになる話が大好きで、次から次へと「日本はダメになる」ネタを探して、不安を煽り立てる。
かつて某格付け機関が「日本の国債の信用度はナミビア以下だ」と発表した時にも、それについて疑問を呈するわけでもなく、文句を言うわけでもなく、嬉しそうに「俺たち、先進国で最低だと評価されているんだ! アフリカの国以下だって。本当に俺たちダメだよなあ!」とばかり報道していた。
最近も世界的な自動車販売台数の激減に狼狽して、「自動車産業はもうダメだ」という特集を組んだりしている。こうした、まるで右に倣えのようなマスコミの悲観論を見ていると、正直「アホか」と言いたくなる。
私は「これから日本の自動車産業は大発展する。特に自動車部品産業にとっては大躍進の時代が来る」と断言する。「そうは言っても将来が心配だ」という人の疑問に答えていこう。8つの心配、疑問に答えることで、日本の部品メーカーがまだまだ発展していくことを示してみたい。
(1)世界の自動車需要は減っていくのか
第1の心配は、「世界の自動車需要が減っていくだろう」という予想だ。
実際、最近の若者は我々の世代(団塊の世代)のように自動車を欲しがらないらしい。確かに鉄道が便利になった上、24時間開いているレンタカーステーションがあちこちにできて、必要があればいつでも借りられるし、返すことができる。
自家用車を買うと維持費が大変だ。実は我が家もレンタカー活用派だ。仮に自家用車を持っていても、遠くに行く時などは「レール&レンタカー」の方が便利だとも言える。
他にも自動車はマイナス要因が多い。しかし往々にして、それは日本の、しかも都会だけのことである。地方都市に行けば、やはり車は必需品である。また日本はともかく、まだまだ車需要が伸びる中国があり、インドがある。発展途上の多くの国では、公共交通機関はアテにならない。世界の自動車需要台数は当分の間、増え続けるだろう。
(2)日本車のシェアは減っていくのか
心配の第2は、世界の需要は減らなくても、日本のシェアは減るかもしれない、というものだ。これもあり得ない話である。
なんと言っても、今回の倒産劇でビッグ3は生産台数を激減させるだろう。世界の自動車需要台数が変わらないとすれば、ビッグ3が生産を減らした台数のかなりの部分は日本車の需要になる。なぜなら、日本車は燃費が良いうえ、小回りのきく小型車では圧倒的な強みを持っているからだ。
ところで問題は自動車部品メーカーだが、ビッグ3が不調だから、当然、米国の自動車部品メーカーも絶不調だ。米国政府はビッグ3は救済するだろうが、部品メーカーまでは手が回らないだろう。ビステオン、デルファイなどのビッグ3直系の部品大手は生き残るにしても、「選択と集中」で生産規模を大幅に縮小するだろう。また、さらに小さな部品メーカーの一部は経営をあきらめてしまうだろう。
減った自動車部品生産を誰が担うかと言えば、かなりの部分は日系部品企業に来ると思われる。ビッグ3にとってみれば、部品生産を全米自動車労組(UAW)に支配され、コスト高体質の系列下請け企業に依頼するより、日系企業に依頼する方がずっとコストを抑えられる。ヨーロッパの部品メーカーも同じような状況にある。これら企業から日本の部品メーカーに仕事が流れてくるだろう。
つまり、日系部品メーカーはこれから忙しくなる。だから気の利いた部品メーカーは北陸(東海北陸自動車道が2008年7月に全線開通!)、東北(目下、自動車系企業の新集積点になっている)などで工場用地を物色している。当然の対応である。