2010年、中国経済は日本を追い抜いて世界2位に躍進した。それは世界経済にとっても中国経済にとっても象徴的な出来事である。

 30年前の中国経済が世界におけるポジションは今の北朝鮮とほぼ同じレベルだったが、その後、中国は市場を開放し、海外から資本と技術を受け入れ、その代わりに国内市場の一部を外資に譲った。

 しかし、長い間、先進諸国および中国を取り囲む周辺諸国からみて、中国が社会主義かつ共産党一党独裁の政治体制を放棄しなかったため、中国の経済発展そのものは脅威とみられている。

 振り返れば、90年代末まで、世界主要国の間で中国の市場開放は再び計画経済に逆戻りするのではないかと心配されていた。世界の主要企業は中国市場の潜在性を認めながらも、中国への本格的な進出を躊躇していた。この動きが大きく変わったのは、2001年、中国が世界貿易機関(WTO)に加盟した時からだった。

 そして、2008年に北京オリンピック、2010年に上海万博が開催され成功裏に閉幕、それを境に、中国社会、特に主要都市の様相は大きく変わった。市民は過度に高揚し、大規模な突貫工事によって環境の悪化がもたらされていたが、2011年に入るとそれらも徐々に落ち着いてきた。実はその前から、世界の主要企業は競って中国に進出するようになった。

中国の信用力が初めて日本を追い抜いた

 世界の中国に対する関心が高まる中で、中国の存在感は急速に増大している。中国の経済力だけでなく、中国語や中国文化の対外進出も加速している。中国の教育省は国内の大学による海外進出をバックアップし、海外の大学と共同で中国語を教える「孔子学院」を多数設立している。それは単なる中国語という言葉を輸出するだけでなく、中国文化の輸出も伴うものである。

 同時に、中国国内では、海外からの留学生の受け入れを積極的に増やしている。例えば、上海の名門大学の復旦大学は今年、中国語の夏期講習として短期留学生を募集したところ、定員を遥かに上回る応募があった。